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2005年04月05日

日本会計士協会のガイドライン

電車に乗っていて、ふと見上げると、週刊ダイヤモンドの中吊り広告に
こんな文が載っていました。
「会計士協会が異例の緊急提言 SI業界の粉飾決算にメス」

改めて記事を探して読んでみると、日本会計士協会のホームページにも
情報サービス産業における監査上の諸問題について
http://www.jicpa.or.jp/technical_topics_reports/999/999-20050311-01.htmlというコンテンツが出ておりました。

どうも昨年、上場企業でありながら、これまでの業界の商慣習を悪用して粉飾決算を行ったことを
問題にした日本公認会計士協会が急遽、ガイドラインを制定したということなのでした。
遅ればせながらPDFファイルをダウンロードして読んでみました。

正直、よく調べたなあと関心しました。この業界外の人達には、わからないだろうと
思っていた裏側のさまざまな取引の実態など非常に興味深い文書でした。

大きな業界の特徴としては、次の2点があげられています。

○情報サービス産業の特質としては、事業の対象物が「無形」であることから
外部からその開発状況や内容を確認することは難しく企業としての内部統制が十分に
機能しにくい。

○下請取引が幅広く行われていて、それも多段階請負構造が業界として慣行化している。


また、会計環境の特質としては、5つ挙げられています。
1)収益の実現を認識することが困難である。
  要するに、得意先の検収書をもって売上とするわけですが、
  本当に得意先が納得する動くものとして認知されていない場合がある。
  また、逆に納品していても検収書が貰えない場合もある。

2)ソフトウエア開発時の仕掛品は、作業(労務費、外注費、経費)の
  積上原価であるがこれは、受注金額どおりに回収できることを前提としている。

  しかし、プロジェクト着手段階で正確な開発金額見積をすることが
  難しいという理由や、仕様変更・追加見積が当たり前であることから
  この受注金額が合意に至らずに回収できなくなる危険性がある。

3)ソフトウエア開発以外に、ハードウエアの販売、パッケージソフトの
  販売も頻繁に行われているため、商社的取引が日常的に行われている。
  この中で在庫リスクを抱えておこなわれるもの以外にも
  会社の帳簿上通過するだけの仲介取引も存在する。
  収益が実現していない取引についても売上金額に含まれてしまうことで
  本来の商取引の実態が見えなくなってしまう。

4)ソフトウエア開発だけでなく、ライセンス販売、保守サービス、トレーニング
  を併せて提供することがあり、同一の契約書等で締結されていることがある。
  しかし、会計上は、複数の取引行為は、契約内容ごとにあるいは、取引形態ごとに
  売上計上基準を検討するべきである。

この後も、さまざまなSI業界の取引についての実態とその内容を確認する上での
留意点を続き、会計処理として売上に計上するのか、純額を手数料として
計上するのか(という風に受け取りましたが・・)の指針を提示してくれています。

悪いことをしようと思えば、簡単に出来やすく、虚栄を張ることも
容易な業界なんだということが改めてわかりました。
(ただし、この場合、実際は、売上といえない売上を
虚飾してあげるという点では、株式市場に上場していない当社としては、
銀行対策くらいしか思い当たりませんが・・・)

また、悪いことはしたくないと思っていても、きちんとしたルールに基づいて
内部統制していくことが非常に難しい業界でもあるのだということも
今更ながらに理解しました。

売上金額と一言で言ってしまえば同じに見えてしまいますが、
自社の売上検収基準というものについて、どのような内部チェック機能を
作ってシビアに評価していくかという課題は、結局、各社に任されてしまうもの
なのでしょうか。

先端技術を使う仕事に携っているのに、さまざまな面で「前近代的な」業界です。
カッコ悪いことはしたくないという、そういう当たり前の視点を持つことが
まずは大事なのだと思うのです。
売上も大事だけれど、それ以上に粗利についての厳しい意識、視点を持つ必要が
あるのでしょうね。

投稿者 sugiyama : 2005年04月05日 14:32

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