世の中 スマートフォン流行りである。
中でも iPhoneは飛びぬけていて、その人気を支えているのが iPhoneアプリであることは言うまでもない。
今やその数は数十万にもなるらしく新しい iPhoneアプリを紹介するだけで、雑誌ができたり TV番組の 1コーナーができるくらいの勢いだ。
有償のアプリでちょっとした稼ぎを得た話も聞く。
IT業界にいる限り、iPhoneアプリを作ってみたいという人は確実に多いと思う。
しかし、iPhoneアプリを作るための王道には、
A.Macを持っている
B.Objectiv-Cを覚えて SDKを使いこなす
という、2つの高いハードルが立ちはだかっている。
本来 Macとゴリゴリのプログラムは相容れないもので、実のところ AとBの両方の条件を兼ね備えている人材/環境はかなり貴重だ。
Macを持っている人は C言語なんか覚えたくないし、Cができる人は Macなんか持っていない、ことの方が多い。
ところで、世の中には、探せば細いながらも王道以外の道が必ずある。
実は、iPhoneに搭載されている Webブラウザの safariは携帯電話のブラウザよりかなり革新的で、
JavaScript のライブラリ jQuery + AJax がさくさく動いたり、新しい表現のできる HTML5にもかなり準拠していたり、ローカルのちょっとした RDBを作って SQLを使えたりする。
これらを活用すると、かなり柔軟な Webアプリケーションが作れる。
そこで、今回紹介するこの書籍は、
まず iPhoneアプリを HTML + CSS + JavaScript からなる、Webアプリケーションとして作成しておき、PhoneGapというツールで『変換』をかませることでネイティブの iPhoneアプリに仕立ててしまう、
という手法を紹介している。
残念なことに、ネイティブな機能(位置情報や加速度センサー等)は『変換』をしてからでないと使えなかったり、そも『変換』で Macが必須になったりはするのだが、
AppStoreから有償で配布するようなアプリケーションでなければ、場合によっては Webアプリケーションのままでも十分な例があるのではないだろうか。
この書籍では、Webアプリケーションの段階で、どうすれば iPhone向けのアプリケーションに似せられるのか、またインターネットにつながっていないオフラインでの処理をどうするべきかについても詳細に書かれているので、主にクライアントサイドで動作する Webアプリケーションを作るためのノウハウも詰まっている。
まず取っ掛かりとして iPhoneアプリを作ってみる気になるにはもってこいの一冊である。
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