某国の役所の予算のように、そこに予算がある限り、人はそれを使ってしまうものなのでしょうか。
パーキンソンの法則とは、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」ということです。
プロジェクト管理においては、プログラムの1本1本の工程が細かくスケジューリングされています。
余裕のないスケジュールが、ほとんどであるためか、一人ひとりの生産性というものに、差異があるためか、実際にはスケジューリングは、仕事を進めながら、何度もリ・スケジュールされていくことが通常です。
しかし、どんな場合でもスケジュールを提示するのには覚悟が必要です。
心優しいリーダーが、スケジュールを少しずつ緩やかに引いたときはどうでしょうか。
ほとんどのスタッフが、納期に間に合うように、ゆっくりと仕事を上げてくるに違いありません。
かといって、毎日のように、明らかにどんどんスケジュールが遅れていくような、見込みの無い計画であっていいはずもありません。
今までの経験値からだけで申し上げますと、1週間に1日以上は遅れない、そしてぴったり間に合ったりはしない、10%~15%増し程度のスケジュールが、理想といえます。
なぜ、ぴったり間に合ったりしないのか?それは、ぴったり間に合うために、スタッフが調整しているかもしれないからです。
チーム全員の息が合って、誰が何を何時間でしているのか、全員が分かっている場合には、こういうことは起こりません。
しかし、ちょっとプロジェクトが大きくなってしまったり、リーダーが他のことに気を取られて、スタッフを野放図にしてしまった場合に、ぴったり間に合っているということは、むしろ、余裕がありすぎたと思うべきなのです。
また、たとえ間に合わなかったスケジュールだとしても、月曜から木曜までは、予想通りの進捗だという報告だったのに、金曜になったら、いきなり「間に合いそうも無い」という報告に変わることも要注意です。
これこそ、夏休みの宿題の前倒しではなく、最後にやればいい方式の失敗といえるでしょう。
リーダーは各スタッフの主体性を重んじることも大事ですが、スケジュールについては、スタッフに任せてしまうことは、望ましくありません。
なぜなら、誰かが早く仕上がらない限り、遅れるスタッフが1人でもいれば、それは確実に、システム全体のコストや納期遅れ、品質の低下に繋がってくるからです。
リーダーがスタッフごとに「どんな場合に遅れて、どんな場合に予定より速く仕上がったのか」をヒアリングしながら、常に調整していくことも必要です。
そして、結局、遅れたスケジュールをチームとして取り戻すバッファが必要となるのです。
これは、人を増やすといったことだけが、スケジュール遅延をリカバりする方法だ、と信じている人たちには、プロジェクト管理の方法として、みなされないでしょう。
しかし、実際の話、差し迫った状況の中で、人を増やして解決するようなことは、非常に少ないのです。
だからといって増やさずに解決もしがたいのですけどね。
Vol.00138