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SE促成栽培シリーズ 帳票の意味と運用ルール

最近は、「画面入力だけ作ってください」といった依頼も増えてきました。

これは、一つには、CSVや、テキストデータを作る仕組みさえ作っておけば、帳票やグラフは、データウェアハウスで、自由に作表した方が良いといった理由があります。

しかし、長年、システム作りをしてきた立場から考えると、「入力」だけのシステムというのは、やはり「何かが足りない」ような気がします。

24時間稼動のシステムも増えてきました。
そして、誰がいつ、どんな情報をインプットし、アウトプットしたのか、を管理する(操作ログ)仕組みも当たり前の時代になりました。

しかし、それがあるからといって、操作ログを頻繁に見るようなことは、現実的ではありません。
操作ログは、膨大な数に上ってしまうからです。

ログについては、いずれお話することとして、今回は「帳票の意味」について、掘り下げてみたいと思います。

システムで帳票を作成する意味は何でしょうか?

1)Excelや、データウェアハウスの扱いに慣れていない人でも作表できる。

2)レイアウトを定型にすることで、膨大な情報の集計から、企業として重要なポイントだけを切り取って表現することが可能となる。

3)情報の入力、チェック、作表、蓄積、消込みといった一連の流れの中で、ある一定のタイミングで情報が集計されることが保証される。

4)誰がいつ、どこで作表しても同じ結果が出る信頼性がある。

この中で重要な視点は、3と4だと思います。
特に、3の「一定のタイミング」ということ。
4の「時を選ばない」ということが、SEが成長する上で欠かせない知識です。

「一定のタイミング」が、どのタイミングなのかは、その帳票を見る人全員が、はっきりと分かっている必要があります。

例えば、国内だけで商品を販売している企業について考えてみましょう。

ここのお店は、ネット通販も行っていて、24時間、在庫の予約が可能であるとします。
しかし、出荷は、宅配業者にお願いしているので、毎日、夕方18時までには終了するとします。

売上を計上する基準というのは、業種・業務によって多少異なりますが、ここでは、最も一般的である「出荷基準」で売上計上している、という前提で考えます。

1日から末日までを集計した、「月間在庫管理表」を作成するとします。
末日を集計するタイミングは、いつが良いのでしょうか?

これが、全国の倉庫・支店で、18時までに出荷が全て終了し、その時点で、出荷入力が全て完了しているということであれば、末日の18時以降に帳票出力ができるはずです。

しかし、出荷入力は倉庫で行うが、最終的に売上承認や、訂正処理を本社で営業が行うということであれば、末日までの集計は、社内の業務ルールとして、翌月の3日、4日の営業終了時間までに、全ての伝票が入力されているということになります。

こういった場合、当然、業務ルールを守れない人や、突発的な業務事故が起こることもあるわけです。
その場合にどう対処するか、といったことも含めて、社内の運用ルールを決めてもらい、更に、システムでは、運用ルールが守られていることを保証する必要があるのです。

例えば、2月29日までの伝票を、3月4日の18時までに全て入力する約束をしたとします。
ここで、帳票を作成したという時点(締)が、システムには必要となるのです。
そして、その時点は全社一律であり、1秒でも遅れた入力や、修正については翌月の帳票に反映させる必要があるのです。

すでに動いている業務をシステム化するという仕事であれば、抽出条件、タイミング、合計の種類など、設計の大部分について、どういうものを作成すれば良いのか、ということを、お客様は、直ぐ答えてくださいます。

現在、役に立っている表、そして、こういうものがあれば便利なのになぁ、といった思いが蓄積してあるからです。

しかし、運用ルールについては、こちらから積極的にヒアリングしない限り、お客様から進んでお話しいただけることは、非常に少ないのです。

月末・期末・締日の慌ただしい中で、どのようにミスを防ぎ、全社的に整合性の取れたものを出力するかといったことは、ヒアリングの中から、SEも一緒に考えることが必要です。

業務ルールとあわせた運用ルール・仕組みを、お客様と確認しながら提供することが求められるのです。

「これはSEの仕事じゃない」と思ってしまえば、抜けてしまうことですが、あれも、これも、SEの仕事なのです。

帳票についていえば、その帳票が、システムの情報の中から「どんな条件」の情報を抜いて集計するものなのかといったことは、明確に提示する必要があります。
また、数多くの運用ミスを防ぐ為の仕組みも必要となります。

Vol.00136

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2008年03月11日 11:30に投稿されたエントリーのページです。

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