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システム開発を成功させるためにはどうすればよいか・・・ ~ユーザー編 その2~

「SEには、どんな情報も開示する。システムに関わる基本データは、なるべく早く渡す。ゴミをとって整理してからという考えは良くない」

例えば、パッケージをそのまま導入するとしても、ユーザー側の作業というのは、簡単ではありません。

通常は、システムで使う各種マスタを登録する作業が、一番先に課せられます。

マスタ登録を画面から行う、もしくは、記入用紙に手書きする、はたまたExcelシートで作成する、他のシステムからデータを抜いてきてCSVを作成する。

マスタ登録作業には、こういった作業が考えられます。

データ加工だけであれば、開発会社に請負ってもらうことも十分に考えられます。

しかし、過去のシステム資産にどんなデータが入っているのか、また、それは正しいのか、使っていいのか、といったことを判断できるのは、ユーザー側のシステム管理者、もしくは現場でそのシステムをお使いの人であるはずです。

マスタ登録作業というのは、雑用でもありませんし、誰がやっても良い作業ではありません。

非常に重要な作業であると認識して下さい。

これを、新人など、業務が分かっていない人に任せたり、全営業マンに全部の得意先リストを紙やExcelに書かせて分担したものを自動で入れてしまったりとすることは、あまり良い方法とはいえません。

(もちろん、誰か業務が分かる人が責任をもって行う分には良いのですが)

たとえ移行作業は自社でやるという決まりになっていたとしても、開発会社側を引きずり込んで、「本当に、集めたデータで動くのか」「お互いにシステムについて思い違いはないのか」といったことを検証することが大事なのです。

また、そういったデータの収集は、本番の直前や、尻に火がついてからではなくて、システムのスケジュールが決まった直後に、設計書が出来るかどうかの段階で、なるべく早く行うべきなのです。

(システム設計書ができあがった場合に印を押しますが、この直前直後です)

というのは、ユーザー側から見て、「別に重要でないから」と思って言わなかったことが、システムとしては「超・重要事項」であり、それを聞いているのと聞いていないのとでは、大違いという場合があるのです。

システムの基本情報の真実を知らずして、満足のいく設計はできないのです。


以下、非常に私的、個人的意見だと思って聞いてください。

政府系の仕事に関与したときに「おかしい」と思ったことがあります。

それは、「彼らはマスタ登録を請負い業者に任せて、自分達では登録しない」ということでした。

確かに、優良企業で大会社の場合はアウトソーシングで、そういった場合もあります。

しかし、ほとんどの会社が少しでも経費節約のため、そして、システム構築にも自分たちで参加するために、マスタ登録は自分達で行っているのです。

他の仕事がどんなに大事であろうとも、国民のために仕事をしている人達が、自分たちの使うシステムを、金を使って第三者にお任せして良いのかと思ったのでした。

「厚生年金のシステムが雑であった」といったニュースを聞いて、本当にその思いが強くなりました。


感情的になってしまいました。

では、思い直して。

「ユーザーはマスタやデータの中身をなるべく早く、紙でもいいし、元のデータでもよいので、明確にSEに示すべし」

恥ずかしいから見せたくない、後からでいいや、は厳禁なのです。

そして、システムを成功させるために、基本情報は自分で整備し、チェックしましょう。

もちろん開発側も、アドバイスや、ツール作成など、できることは協力いたします。

Vol.00148

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2008年06月17日 11:30に投稿されたエントリーのページです。

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