桜舞い散る4月になりました。当社にも新入社員が登場しました。
わたしがこの業界に入ったのは4月ではなく、8月なのですが、いつも、この時期、新人を迎えると過去のことを懐かしく思い出します。
ちょっとだけ、過去に遡って自分の経験をお話しましょう。
当時、プログラマで職を得たわたしは、プログラマに専念していた3年間を含め、少なくとも5年間はプログラミングをしていました。
COBOLという“手続き言語”と呼ばれたものが最初に覚えた言語でした。
当時のプログラムは、現在のプログラムと比べてはるかに簡単なことしか実現できないにも関わらず、想像を絶するような「かったるい(面倒な)手順」が要求されました。
一人一台のPCすら無かった頃ですから、プログラミングを行うのは紙と鉛筆でした。
コーディング用紙という、カラムごとに線が引かれた設計用紙にプログラムコードを全部書いていきます。
複写機能を使うことさえできず、紙にひたすら延々とコードを書きつけることが仕事でした。
そのため、プログラミングの作業は長時間を要しました。
しかし、この無駄に思えた長い時間も、今になって思えば良いことでもありました。
当時の自分にとって、一度書いたコードが間違っていたり、後から無駄だと気がつくことは、それこそ天を仰ぐほどつらいことでした。
だからこそ、無駄なコードを書かないため、正常に動作するコードを作るために一生懸命に頭を使ったわけです。
「急がば回れ」それが常にテーマでした。
最終的に無駄にならないコードを書く。
書き出す前に、作り出す前に、どれだけ考えてから走り出すのか。
現代のプログラマは、当然のごとく、PCの画面にプログラミングをパンチすることでプログラミングを行います。
また、ひょっとすると、過去のプログラムを元にして作成することの方が多いかもしれません。
昔は、方法が無かったために、仕方無く紙にコーディングをし、無駄なコードを書くのが嫌なばかりに、頭を使うことを覚えたわたしでした。
しかし、この「先に考える」という力は、とてつもない財産を与えてくれたような気がします。
プログラミングも、設計もプロジェクトマネージメントも、そして文章力もすべて、まずとことん「考える」ことが大事なのだとつくづく思うのです。
考えることも一種の慣れが必要です。
そして、慣れた人は間違いなく成長が速いのです。
Vol.00186