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SE促成栽培その1「日時」について考える

当社も2009年度の新卒採用のページを公開しました。
2007年11月なのに、再来年の4月の入社を考えなくてはいけないのですから、システム開発の長さどころではありません。

学生さんには、プログラマと言っても、システムエンジニアと言っても、職種名ではピンとこない人が多いものです。
これは、特に当社が理系、文系問わずに募集しているせいかもしれませんが。

プログラマを2、3年やった後、システムエンジニアになる。

私が二十数年前に、この業界に就職してから、ずっと続いている育成方法です。

実際のところ、プログラマの「ものの考え方」、つまり、「視点の域」、「とことん細かく例外を考えること」
といった感性を理解できることが、SEとしては、かなり重要だと思っています。
プログラミング技術ではなくて、プログラマの感性を理解してほしいと思っています。

さて、これから数回に掛けて、システムエンジニアを目指しているプログラマ、そして、SEの若手に向けて、基本中の基本の考え方について紹介したいと思います。

今回は、その1「日時」についてです。

最近のシステム開発は、分析系システムであったり、ECサイト系の開発が多いのでしょうから、日時というのは、常に、リアルタイムの年月日、時刻を意味することが多いのでしょう。

そんなシステムばかり組んでしまうと、会計システムや販売管理システムといった、基幹業務の年月日についての感性が、育たなくなってしまうことが少し心配です。

そこで、知識だけでも、「日時」について考えてみたいと思います。
本当に初心者向けの当たり前のことばかりですので、キャリアが3、4年以上ある方は、読み飛ばしてください。


●日時には、今、そのとき、その瞬間という意味と、過去のある日時を意味する場合がある。

例えば、Aイベントホールの座席表を考えてみましょう。
予約受付システムを請け負った貴方が考える予約済の座席数、これは、お客様や担当者が画面照会したその瞬間、つまり、今現在です。

1秒後には数が違う可能性があります。

一方、あるイベントは、11月15日受付分までを
先行予約分として、チケット料を10パーセント値引きすると宣言していた場合はどうでしょうか。

この場合、予約済数が分かるだけでなく、値引き販売数もシステムで把握する必要があります。
例えば、11月26日昼13時現在の予約済数が623名で、11月15日までの受付分は、324名であるという、過去のある時点までの集計値をとっておく必要があるわけです。

もちろん、ハードやデータベースの性能が十分にある場合は、集計値をデータベースに項目として持つ必要はなく、クエリで、日付範囲指定で集計すれば大丈夫ということもあるでしょう。

しかし、次の場合はどうでしょうか。

B社では経営会議が毎月開かれています。
営業の月間成績表は、翌月3日には集計され、その表を基に5日に経営会議が行われます。

項目として、月間受注金額、(半期)累計受注金額、受注残金額が載っています。

Cさんの10月の営業成績は、【月間受注金額1,600万円】・【(半期)累計受注金額1,600万円(10月は半期の初めの月です)】・【受注残金額 4,300万円】であったとします。

11月は、【11月30日までの新規受注金額700万円】・【受注から売上になった金額2,300万円】ありました。

ところが、10月に受注した案件でトラブルがあり【400万円が受注取り消し】となってしまいました。

しかし、【12月2日付け新規受注金額3,200万円】取ることができました。

さてCさんの12月3日に出した営業成績表はどうなるでしょうか。

答え→【月間受注金額300万円 (700-400)】・【(半期)累計受注金額1,900万円】・【受注残金額2,300万円】

ここで注意すべき点は2つ。

11月の帳票でも、10月の訂正分は、マイナスされるということ。
受注残金額といった、一瞬の残を表示するようなものも固定月報に印刷する場合は、11月末日を締として、翌月分の日付の伝票は集計しないということです。

特に、経営会議で検討するような表には、リアルタイム性よりも、月間、月間で積み上げた場合に
正しい合計となるものが求められます。

もちろん、ここで集計のキーとなる日付は、入力年月日ではなくて、伝票年月日(受注伝票であれば、受注年月日)です。

こういった、「伝票」としての業務の集計方法を覚えておきましょう。

そして、これらの数値は、何ヶ月後に見ても、常に同じ値が表示、集計されることが、
ほとんどの場合必要となるのです。

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2007年11月27日 11:52に投稿されたエントリーのページです。

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