大手ベンダーに勝つ、差別化を計るシステム提案書の作成
実際のところ、当社は100%受託開発を行っています。
もちろん、ユーザー様との直案件だけでなく、大手ベンダーの営業さんや、システムソリューション部隊からも、お仕事をご紹介いただいています。
受託開発で全部、社内で賄っていくというのは、ある意味、奇跡に近く、営業がいないわけですから、仕事が来る経路はいくらあっても構いません。
どうしても、「営業がいない」→「営業に無関心」ということになりがちですが、それは必ずしも、そうであるとも言えません。
なぜなら、飛び込みや電話による「新規営業」はしなくても、Webをご覧になったお客さまから、直接のお問い合わせがあることもあるのです。
また、営業がいない為の苦しみというものを散々味わっているので、案件に対しては、必死に食らいつこうとする根性は生まれます。
営業部隊がお客様に提出している提案書にも、興味津々です。
さて、開発費用が数千万以上になると思われるシステム提案書を集めてみると、どの提案書も似た形式で書かれていることに気づきます。
企業の基幹業務についてのシステム・リニューアルを例にとってみますと、御社業界の状況、御社の置かれた状況、御社の課題、問題点といった、お客さまの現在状況を分析し、そこから問題点を抽出して、どうやってその課題を解決するのかといったことを中心に、将来像、あるべきシステム展開を絵にして語るといった、「提案型」がほとんどを占めているのです。
正直、提案書の書き方といった書籍を読んだり、いろいろな提案書を集めてみると、こういうものがほとんどです。
もちろん、「提案書」だから、「提案型」であるべきだと考えることはよく分かります。
しかし、こういう提案書を幾つか見ますと、同じ業界であれば使い回し、同じ業界でなくても、文書管理、在庫管理といった、共通のシステム内容であれば使い回しが行われていることが、見た瞬間に分かります。
つまり、汎用的で抽象的な「カッコいい言葉の羅列」の提案書にすぎず、お客様に対しての関心や思いやり、サイズに合った提案が入っていることが少ないと言いたいのです。
「これを受け取ったユーザー企業の担当者は、どこを見るんだろうか」と考えると、「機能一覧+スケジュール+コスト」だけのような気がします(すみません)。
結局、経営者や情報システム部が余りにも忙しいのか、ITシステムに興味がないのか、両方なのか分かりませんが、こういったコンサルタント的提案書(決してほめ言葉ではありません)が、まかり通っていることが本当に不思議です。
では、多少、近視眼的だとは思いますが、私が考える「よく出来た提案書」について考えてみたいと思います。
それは、現場なり、ユーザーのシステム部の方々が見たときに、「当社のことがよくわかっている」とか、「ここまでいろいろなことを考えてくれるんだ」と思わせるような、気持ちを揺さぶる提案書なのです。
その為には、提案書は、「こうあるべきだ」の形ではなく、お客様が、個別に自社向けに提案されたと実感できる機能を、具体的な運用と同時に表現し、盛り込んで、その中の「お勧め」が、はっきりと具体的に書かれていることではないでしょうか。
「とにかく営業しなければ仕事が無い」、「提案しなければ始まらない」というのは確かなことです。
しかし、IT技術力を使うことで企業文化なり状況を画期的に変える、素晴らしい提案書を作ることが使命だと思っているのか、ともすれば、「絵に描いた餅」のようなビジョン系のシステム提案を作り、お客様を見下したような提案書の形が多いのが気になります。
提案先の企業の文化の変革を唱えながらも、一方では、使い回しした提案書がまかり回っているのも事実だから、矛盾していると思うのです。
もちろん、「万事がこれ」とは言いたくありませんし、中小企業のソフトハウスとは違うんだと言われてしまえば、そうなのかもしれません。
ただ、相手によって、また、場合によって、提案書の中身をちょっと違う視点で発想してみることも、必要ではないかと思うのです。
なぜなら、「ルーチン化」してしまうことが、仕事の最大の敵だと思っているからなのです。