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システムリフォームから考える その2

世界的な新車販売の低迷を受け、トヨタ自動車の部長級約2200人が3月末までに自社の新車を購入する取り組みを始めたことが13日、分かった。
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200901140004a.nwc

先週の驚きはこのニュースでしょうか。
読み進んでいくと、ある幹部は「自ら買って乗らなければその良さがわからず、人にも勧められない」と話し、販売回復の一助を担う意味合いを強調する。

とありました。
「トヨタの部長なのにトヨタ車に乗っていない人もいるのか」と驚きました。
トヨタ車以外を購入する理由として、「競合相手の車に乗って調査する」という理由もあるかもしれません。

でもそれは2台目の話なのではないでしょうか。
もし、私がトヨタに入社したのであれば3年ごとに新車を購入していたはずです。
これは断言出来ます。

「お客様の視点でものを考える」ことは商売の鉄則のはず。
次々と売り出されている新車に乗らずとしてどうする、というのが私の感想です。

さて、自分たちの仕事に置き換えてみれば、企業の業務システムを開発している会社の場合には、2種類のお客様の視点があります。

・1つ目のお客様の視点は「納品する企業の社員の視点」
・2つ目のお客様の視点は「納品する企業が相手にしているお客様の視点」です。

技術者は「納品する企業が相手にしているお客様の視点」つまり「顧客の顧客」の視点を、つい忘れがちであることを肝に銘じておきましょう。

さて、前置きが長くなりました。
「システムリフォームから考える その2」です。

システムリフォームを受ける場合に、一番問題になる部分はどこかおわかりでしょうか。

それは「ビジネスロジック」なのです。
どのようなものがビジネスロジックなのか?
ということから簡単に説明します。

画面のプログラムを例にとって考えてみましょう。
「Tabキーで移動だけでなく、Enterキーでも移動する」や「エラーのとき赤く表示する」といったことは、ビジネスロジックではありません。

「単価を計算するときに、仕入先のフラグをチェックして、ある率を掛け合わせて計算する」というように、その企業の独自のルールがビジネスロジックです。

消費税計算はどうかというと、ビジネスロジックではありますが、その企業のオリジナルのビジネスロジックではありません。

一番問題になるところは、この企業独特のビジネスロジックについて、
「どのようなビジネスロジックがあるのか、どのようなものがビジネスロジックの例外になるのか」といったことでしょう。

実際に、システムリフォームをしようとしたときに、これらが「頭に入っている」のと、ソースを読んでしか理解出来ないのでは、後々問題が起きる確率が全く違います。

そこで、ユーザー側にすれば、前回システムを作った担当者、つまり、ビジネスロジックが頭に入っている人物がリフォームを担当することが一番良いと思いがちです。
しかし、一番良いのはビジネスロジックのドキュメントが公に残っていることです。

何故なら、どんなに頭の良い人でも何年も前のシステムの細部まで覚えていることは不可能だからです。
そして、常に「その人がその場所からいなくなったら」というリスクを抱えることになってしまいます。

企業での運用担当者がいつ変わっても良いように、システムの開発担当者も変わることを予期しておくことが必要です。
また、再チェック、相互チェックという観点からもドキュメントを利用しながらの打ち合わせが出来ることが一番望ましいのです。

さて、今回の質問はユーザー企業にとっても辛い質問かもしれません。
なぜなら、システム開発やリフォームに用いるだけでなく、新入社員に業務を教えるためにも、自らビジネスロジックをドキュメント化しているのは企業として基本であるはずなのです。

ユーザー・開発者への共通質問:システム内部に隠された企業特有のビジネスロジックを説明出来るドキュメントは用意されていますか?

追伸:ビジネスロジックは、JAVA、VB.NET、PHPといった言語で表現されるよりもデータベース言語にしておく方が良いと思いますよ。

Vol.00176

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2009年01月20日 11:30に投稿されたエントリーのページです。

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