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ユーザーに請求すべきこと、請求してはいけないこと

新システムが稼働してから初めてシステムリフォームが行われるときそれは1ヶ月後、1年後というスパンが多いのではないでしょうか。

1ヵ月後に行われるシステムリフォームは、ユーザーもしくはSE、あるいはその両方に大きな悔いを残したものに違いありません。

つまり、設計上の穴であったり、ユーザーがSEに伝えていなかったこと。
あるいは、声を大にして言わなかったことからSEが運用を甘く考えていた結果なのでしょう。

そして、1か月を待たずしてその問題は浮上し、システムを直さざるを得ないということになるのです。

これをシステムリフォームと呼ぶのは問題があるでしょう。
むしろ、運用テストでの調整といった一連の開発に含んだほうが良さそうです。

しかし、その作業をなんと呼ぼうが、費用の問題が1番の課題となるでしょう。

システム開発の現場では、「追加要望」とか「追加案件」「仕様修正」といった呼び方をします。

この言葉を見る限り、ユーザー側の一方的な理由で作業が発生し、金額を請求することになったような印象があります。

しかし、実際にはそうでないことも多いのではないでしょうか。

例えば、私自身が発注者(ユーザー)の立場に立った、こんな出来事があります。

引っ越しの際のことです。
役員室の内装を業者に依頼し、事務室の一角を区切って役員室を造作しました。
役員室の壁は、シックなイメージに合わせてモスグリーンがかったグレーで塗ってもらうことにしました。

内見の日に、役員室の壁を見て驚きました。

役員室の四方の壁は、ほとんどが窓である面、ガラス張りとドアの面、コンクリートの面、仕切りパネルの面という構造になっています。

ほとんどが窓である面、ガラス張りとドアの面、仕切りパネルの面はシックな色で塗られています。
しかし、もう一面の残ったコンクリートの面を見ると、白い。
つまり元からあったコンクリートの壁のままだったのです。

確かに、「この壁は白いままでよろしいでしょうか?それとも塗ったほうがよろしいでしょうか」とも聞かれていませんし、こちらも「全面を同じ色で」という指定をしませんでした。

これは、どちらの不備なのか?
他の3面は塗っているのに、一面だけ塗っていない部屋というのは常識からいって「ありうる部屋」なのかという思いが沸き起こりました。

そのとき、内装会社の担当者は謝ったとは思います。
しかし言った言葉は、「業者を呼んで塗らせるのに、費用がかかります」といった内容でした。

そのとき、「1部屋で連続している壁の色が違うのはおかしい」とごねることも出来たでしょう。
しかし、結局その一言、つまり「業者を呼ぶ」という言葉に内装業者そのものが動くのではなく、費用が発生するということで、しぶしぶ払うことを承諾せざるを得ませんでした。

例えば、一戸建ての見積もりの場合を考えます。
標準一式一戸建て1500万円という見積もりがあったとします。

この建物のタイルの色が気に入らない。
しかし、タイルを高価なものに変えるのには、タイルそのものの仕入金額が高くなるため、見積もり金額が上がる。

こういう見積もりなら理解できます。

内装会社の出来事も確かに「業者作業がかかるから」というのが一サラリーマンとしての正直な対応でしょう。
でもそれでいいのでしょうか。

そして、私たちが内装会社の担当者になったとき、白い壁を見たユーザーになんと答えるのでしょうか。

業者支払を自腹で払っても、プロとして聞き逃したことの責任を果たすのか。
それとも「業者を呼ばないといけないので費用がかかります」というのだろうか。

システムリフォームも、納品直後のものは、開発会社の覚悟が問われるものだと思います。

わたしの場合はですか?

やはり、どんなことでも全部保証するとまでは言えません。
ユーザーが言わないこともすべてパーフェクトに実現できるとは思っていません。

ただ、パーフェクトでありたいとは思っています。
そして、一方では、プロジェクトである限り、きちんと利益を出すべきだとも思っています。

出来ること、出来ないことがある。というのが答えです。

ただ、自分が気が付けば良かったのだ、という反省だけはきちんとしておきたいと思っています。

Vol.00181

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2009年02月24日 11:30に投稿されたエントリーのページです。

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