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2009年05月 アーカイブ

2009年05月12日

出来の悪いシステム開発とは

ついに連休も終わりました。


新型インフルエンザ、高速道路渋滞などの影響で出掛けるのにも躊躇することが多く、今回の連休はおとなしく過ごしました。


遊びすぎなかった連休というのも、体調だけでなく精神的にもいいものだと実感しました。


さて、連休前に私が出した質問、覚えていらっしゃるでしょうか。

システム開発を行う場合の工程別のコストの割合についてです。


今の私自身の考えは

1)客先での打ち合わせと外部設計 20
2)内部設計 20
3)開発(プログラム作成とテスト) 50
4)納品 10

ということもお話しました。


本当に残念というか・・・仕方がないというか、開発の比重が大きくなることが気になります。


開発の比重を小さくするためには、今や開発部分を切り分けてオフショアして単価を下げることが当たり前なんですね。


しかし、オフショアもいつまでも単価が安いままが続くのでしょうか?


安いというのは、日本が他のアジア諸国に比べて先進諸国であるという理由だけで感じる相対的物差しのはずです。


システム会社としては、この内訳の比率の意味を理解し、常に見直すことが必要です。


私の経験からお話しましょう。

出来の悪い、もしくは進捗がうまくいっていないシステム開発があるとします。あくまでも仮定ですが。

こういったシステム開発の場合、目に見えてわかることがあります。


外部設計、内部設計、開発、納品が工期としてダブることが多いのです。


ひどい場合には、隣り合わせの工程がダブるだけでなく、仕様が戻ってしまい、「 1)客先での打ち合わせと外部設計」と「 3)開発」が同時に行われていたりするのです。


理想の開発では、1)→ 2)→ 3)→ 4)と順番に進むものが、「 3)開発」の段階で未だ 1)のヒアリングが終わっていなかったりするのです。


それは、開発途中で、ユーザー企業のおかれている状況が変わり、否応なしに仕様修正が入るということもあるかもしれません。


しかし、もともとの仕様を開発側とユーザー側でしっかり確認していなかったために「 4)納品」になってから発覚したという場合があります。


これが最悪のパターンです。


しかも、ウォーターフロー開発の場合開発途中で誰かが気づくということが非常に少ないのです。


また、開発途中で気がついたとすると、開発期間が延長になってしまいます。


開発期間は、その期間だけ人員増加することが常識ですので長期戦に持ち込むことが、そのままコスト高の理由になってしまうのです。


そこで、プロマネの重要性や上流工程の価値が再評価されるのですね。


やり直しが許されるのであれば、開発に入る前までをやり直したいとシステム会社が思うのは当然のことといえます。


ただ、私個人としては、もっともっと開発のコスト率を下げる方法が他にあるのではないかと思っているのです。

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2009年05月19日

『ダ・ヴィンチ・コード』と『天使と悪魔』の違い

公開されたばかりの「天使と悪魔」を観ました。

正直、まったく期待せずに観にいったのですが、驚きました。

あの面白くないどころか「退屈」ですらあった「ダ・ヴィンチ・コード」の続編とは思えない出来の良さでした。


ハリウッド映画のアクション・テンポ・ゴージャスが満載といったところです。


では、製作メンバが代わったのでしょうか。


いいえ。

原作 ダン・ブラウン
監督 ロン・ハワード
製作総指揮 トッド・ハロウェル
製作 ブライアン・グレイザー
脚本 アキヴァ・ゴールズマン
主演 トム・ハンクス

これが今回の主要製作陣です。

多少の入れ替わりはあるものの中枢は全く同じメンバと言えるでしょう。


前作「ダ・ヴィンチ・コード」は大失敗だったと信じていたのですが、実際は興業的にはそこそこ成功していたのですね。

無知でした。


しかし、それでも全く同じメンバで総大な予算を使って続編を作ろうとしたソニー・ピクチャーズも偉いと思います。


前作が賞賛されなかったとはいえ、世界で名の知れたプロ集団ですから、どこが悪かったかを反省し、思う存分に「これがハリウッド映画だ」というところを見せつけてくれたように思えます。


・トム・ハンクスに加えてユアン
・マクレガーという上手いだけでなく魅力ある役者が出ていること
・映像として荘大で美しい印象ある場面が多かったこと
・テンポが速いのにストーリーについていけたこと


これらが良い要素として映画の印象をつくり上げました。


良く出来た映画というのは、やはり戦略にのっとって作られるものなんでしょう。


システムも同様に、失敗したり、いま一つ評判が悪いシステムも、逆にその原因をきちんと精査して、戦略を考えて再構築すれば、素晴らしい出来になるということも十分あるのではないかと思うのです。


成功したシステムの視点
失敗したシステムの原因

をきちんと把握していること。


また、今回の「天使と悪魔」は、ダン・ブラウンの関与が薄れてロン・ハワードが自由に長刀を振るうことが出来たことも成功に大きく貢献したようです。


本来、能力や経験がある人であれば、いろいろ口出しされたり、調整しながら仕事をするよりも自由に采配を振るえるほうがより成果を出しやすいということもいえるでしょう。


【参考】
・超映画批評『ダ・ヴィンチ・コード』
http://movie.maeda-y.com/movie/00726.htm
・超映画批評『天使と悪魔』
http://movie.maeda-y.com/movie/01282.htm

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2009年05月26日

航空機はなぜ墜落するのか

全米で100万部を超えるベストセラーになったビジネス本「天才!成功する人々の法則」が勝間和代さんによって翻訳され、講談社から出版されています。


この書籍のもともとの主題は「天才と呼ばれる人々は生まれつきの才能で成功するのか?」ということであり、生まれながらの資質や努力よりも、むしろ時代や環境、与えられたチャンスによって成功しているのであるという話です。


天才は「1%の素質と99%の努力」という言葉が先入観としてある身には、ちょっと「えっ」と耳を疑ってしまうものです。

しかし、説得力のある数字や資料に裏付けされている話です。


この本の中に、システム開発と関連付けると非常に興味深い章があります。


それは、第7章「航空機事故の“民族的法則”」です。

ここには、恐るべき大韓航空の歴史が載っています。


1988年から1999年における、アメリカ・ユナイテッド航空のフライト100万回あたりの“機体損失”率は0.27。

一方、大韓航空の損失率は4.79。

ユナイテッド航空の実に17倍以上の機体が落ちている計算になります。


確かに、10年以上昔には「命が惜しければ大韓航空には乗らない」といったことが秘かに言われていました。


そして1999年、当時の金大中大統領は率直にこれを認めました。

「大韓航空の問題は一企業の問題ではなく、韓国全体の問題である」

そして、大統領専用機を大韓航空からアシアナ航空に変えたのです。


ところがその後、大韓航空は自らの「立て直し」に成功したのです。

1999年以降、彼らの安全記録には非の打ちどころがありません。


大韓航空が最悪のエアラインから世界でも優良のエアラインへ変貌したのは、同社が「文化的な遺産の重要性」を認めたからだったのです。


大惨事はなぜ起こるのか?

それは、小さなトラブルと些細なエラー要因の蓄積の結果なのです。


墜落の典型的な原因は悪天候、しかも過酷である必要はなく、パイロットが通常よりストレスを感じる程度の天気なのです。


圧倒的に多い原因は出発が遅れ、パイロットが焦っているときであり、墜落事故の52%が機長が目を覚まして12時間以上経過したとき、つまり、機長が疲れを感じ、判断力が鈍ってくるときなのです。


さらに、墜落事故の44%が機長と副操縦士が初めての顔合わせのときに起きているのです。


そしてエラーが生じる。しかもひとつにとどまらなく人為的ミスが7つ続く。

7つのエラーが大惨事を招くのです。


ついつい、ヒヤリハットが300続くと29の軽傷事故があり大事故1つに繋がるというハインリッヒの法則を思い出してしまいました。


しかも、この7つのエラーは、知識や飛行技術の問題ではないというのです。

難しい操縦技術を求められて失敗したわけではないのです。


この本には、大韓航空の事例だけでなく、コロンビアの航空会社であるアビアンカ航空の有名な墜落事故について恐ろしい物語をかたっています。


では、どんな理由で航空機は墜落するのか?そして、大韓航空はどうやって立ち直ったのか、気になる人は自分で本を購入されるのもお勧めですよ。


次回に続きます。


Amazon「天才! 成功する人々の法則」

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