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航空機はなぜ墜落するのか

全米で100万部を超えるベストセラーになったビジネス本「天才!成功する人々の法則」が勝間和代さんによって翻訳され、講談社から出版されています。


この書籍のもともとの主題は「天才と呼ばれる人々は生まれつきの才能で成功するのか?」ということであり、生まれながらの資質や努力よりも、むしろ時代や環境、与えられたチャンスによって成功しているのであるという話です。


天才は「1%の素質と99%の努力」という言葉が先入観としてある身には、ちょっと「えっ」と耳を疑ってしまうものです。

しかし、説得力のある数字や資料に裏付けされている話です。


この本の中に、システム開発と関連付けると非常に興味深い章があります。


それは、第7章「航空機事故の“民族的法則”」です。

ここには、恐るべき大韓航空の歴史が載っています。


1988年から1999年における、アメリカ・ユナイテッド航空のフライト100万回あたりの“機体損失”率は0.27。

一方、大韓航空の損失率は4.79。

ユナイテッド航空の実に17倍以上の機体が落ちている計算になります。


確かに、10年以上昔には「命が惜しければ大韓航空には乗らない」といったことが秘かに言われていました。


そして1999年、当時の金大中大統領は率直にこれを認めました。

「大韓航空の問題は一企業の問題ではなく、韓国全体の問題である」

そして、大統領専用機を大韓航空からアシアナ航空に変えたのです。


ところがその後、大韓航空は自らの「立て直し」に成功したのです。

1999年以降、彼らの安全記録には非の打ちどころがありません。


大韓航空が最悪のエアラインから世界でも優良のエアラインへ変貌したのは、同社が「文化的な遺産の重要性」を認めたからだったのです。


大惨事はなぜ起こるのか?

それは、小さなトラブルと些細なエラー要因の蓄積の結果なのです。


墜落の典型的な原因は悪天候、しかも過酷である必要はなく、パイロットが通常よりストレスを感じる程度の天気なのです。


圧倒的に多い原因は出発が遅れ、パイロットが焦っているときであり、墜落事故の52%が機長が目を覚まして12時間以上経過したとき、つまり、機長が疲れを感じ、判断力が鈍ってくるときなのです。


さらに、墜落事故の44%が機長と副操縦士が初めての顔合わせのときに起きているのです。


そしてエラーが生じる。しかもひとつにとどまらなく人為的ミスが7つ続く。

7つのエラーが大惨事を招くのです。


ついつい、ヒヤリハットが300続くと29の軽傷事故があり大事故1つに繋がるというハインリッヒの法則を思い出してしまいました。


しかも、この7つのエラーは、知識や飛行技術の問題ではないというのです。

難しい操縦技術を求められて失敗したわけではないのです。


この本には、大韓航空の事例だけでなく、コロンビアの航空会社であるアビアンカ航空の有名な墜落事故について恐ろしい物語をかたっています。


では、どんな理由で航空機は墜落するのか?そして、大韓航空はどうやって立ち直ったのか、気になる人は自分で本を購入されるのもお勧めですよ。


次回に続きます。


Amazon「天才! 成功する人々の法則」

Vol.00192

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2009年05月26日 11:30に投稿されたエントリーのページです。

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