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2009年06月 アーカイブ

2009年06月02日

大韓航空はなぜ立ち直ることができたのか?

先週から「天才!成功する人々の法則」の第2部第7章を紹介しています。


1999年までに、悲惨な航空機事故を繰り返した大韓航空、最悪のエアラインから世界でも優良のエアラインに立ち直った理由 それは、「文化的な遺産の重要性」を認めたことからでした。

これに関連してコロンビアの航空会社の恐ろしい事例が紹介されています。


1990年アビアンカ航空の052便が墜落しました。


ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港へ向かっていたアビアンカ航空の052便は、悪天候のため3回も航空交通管制に空中待機を命じられていました。


そして予定より1時間15分遅れで着陸許可が下りたとき、燃料切れで墜落したのです。


この事故の原因は、3つあるといいます。


「出発の遅れ」
「オートパイロットの小さな不具合」
「3度にわたる空中待機」


事故機であるボーイング707型機は、古い型式で操縦が難しく飛ばすのに苦労するのです。

さまざまな要因が重なった結果、機長は疲れ果て、決断力が鈍り普段なら気づく何かを見落としてしまった。

その何かとは、「燃料不足になる」ということだったのです。


ケネディ国際空港のすぐ近くで墜落するまで40分も旋回飛行を続けていた間、操縦室の誰もが燃料が残り少ないことを承知していたはずです。

ところが近くのフィラデルフィア国際空港へ着陸することもできたはずなのにしなかったのです。


3度目の空中待機を指示されてはじめて管制官に「別の空港まで飛ぶ燃料がない」と告げているのです。


管制官の返答は「待機せよ」でした。


そのときどうも機長は、自分たちを管制官が他の飛行機よりも優先させて着陸させてくれると考えていたふしさえみられるのです。

しかしそれは、とんでもない誤解でした。


また、乗組員は「燃料がない」ということを再度大声で強く伝えたでしょうか。

いいえ、燃料切れの問題を伝えたのは、さらに38分後のことだったのでした。


ボイスレコーダーからもっと恐ろしいことがわかりました。

機長が副操縦士に「(燃料がない)緊急事態だと伝えろ」と言った指示に対して副操縦士は、どういう連絡を管制塔にしたと思いますか?


他の報告のついでに最後に付け加えて「こちらは燃料がなくなりかけています」と軽く伝えているだけなのです。


それも、何気ない口調だった、声に切迫感がなく管制官にとっては、「ついでの発言だ」としか思えない連絡でした。

これは「緩和された話し方」と呼ばれています。

発言の持つ真の意味合いを控え目に伝えるとか、聞こえやすくしようとする試みを指します。

私たちは、よくこういった話し方をします。

「もし可能でしたら、月曜にいただけるとありがたいのですが・・・」


機長であれば、副操縦士にものを言うときは、彼らは、明確に命令として「月曜までに納品してくれ」といった言い方をします。

しかし、副操縦士は機長に、はっきりと「命令」できるのでしょうか。

答えはNOです。


圧倒的に多数の副操縦士がその立場のせいか「示唆」と言われるもっとも柔らかい表現を選ぶことが調査でわかっています。

だから、恐ろしいことに過去の例をみれば、機長自身が操縦桿を握っているときのほうがはるかに墜落事故は起きやすいのです。

なぜなら機長が間違ったことをしたときに、副操縦士はNOと言えないのです。

人命がかかっているというのに!


ここ15年ほどの間、民間航空業界においては「表現の緩和との戦い」が重要な課題改革になってきたのでした。


アビアンカ航空機事故も、問題はここにあったのです。

ただひとこと、「無理だ。燃料がない」といった強制力をにじませたアナウンスがされればよかったのです。

しかし、管制塔とやりとりをしていたのは副操縦士だった。


権力格差指標という「その国の文化が権威を重んじ権威に敬意を払うかどうか」を示す指標があります。

権力格差が大きな国では、部下であるがために、常に相手に気を使ったものの言い方をしてしまうのです。

だから副操縦士は、部下から上司に対する話し方で管制塔と話してしまったのでした。


管制官は権力格差が小さなアメリカ人であり、彼にとって緩和された話し方は「差し迫った問題がない」という意味でした。


ここに、副操縦士がアメリカ人であれば、燃料がなくても待機している状況に大人しく我慢していなかったのではないかという国の気質の問題があります。

アメリカが権力格差は最もない国であり、コロンビアは権力格差が大きい国だったのです。


ちなみに世界で一番格差が大きな国は、ブラジルであり、2番目が韓国でした。


もうおわかりでしょう。

大韓航空がどんな改革をおこなったのか。


実は、航空英語の熟達を支援したのでした。

英語こそが航空業界の言語だというものでした。


通常、パイロットは自国の「文化的な遺産」の重みに押し付けられた役割から抜け出せない。

そこで、英語を話すことで、まったく別の遺産を持った文化と言語に参加できるきっかけを与えたのです。


優れたパイロットであるというのは本当はどういうことなのか。

文化や歴史や個人を取り巻く世界が、仕事の成功に大きな関係があるととことん理解することが一歩なのかもしれません。

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2009年06月09日

CMSは何で選ぶ?・・・CMSを選ぶ最低限の条件

CMS[コンテンツ・マネジメント・システム]って、一般の人は知らない言葉だとばかり思っていました。


でも最近はSEOくらい有名になってきたようです。


ホームページのお問い合わせで、一般の方からいきなり「CMSでホームページを作りかえたい」などと言われて、びっくりすることも無くなってきました。


ただし、こういった言葉って、CRM[顧客関係管理システム]でも CMS[コンテンツ・マネジメント・システム]でも SaaS[Software as a Service]でもある意味ベンダー(ソフト提供)側が都合がいいように使っている場合もあるんですよね。非常に残念だけど・・・・。

当社だってそういう気持ちが分からなくもない。

だからこそ、「お客さまに説明するとき」「質問を受けたとき」など表現の仕方がものすごく難しいと思いますね。


CMSを説明するとしたら、なんて答えましょうか。

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ホームページは、デジタルであるというだけでチラシみたいなものです。

チラシのデザインやイラストを変更するとしたら、絵や写真だけでなくもう一度、文章も入力し直して、チェックし直す必要があります。

でも、素人が触るとデザインがズレたりミスプリントされたりする恐れがあります。


そこで、文章(テキスト)がすべて分類されてデータベースという戸棚に入っていたらどうでしょう。

デザインを変えてもズレやミスプリントもなく、そのままの品質が保てるとしたら。


デザインを変えること、新しいサイトを作って複数の場所から情報を流すことが容易にできるようになります。

これにプラスして、承認権限を付けたり、予約公開をしたりすることもできるようにもなります。


コンテンツ(ホームページに載せる記事や企画のことです)を管理できるからコンテンツマネジメントシステムというのです。

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こんな感じでしょうか。


今、楽だなあと思うのは、「ブログ」がノーマルな知識になってきたことですね。

当社にとって(自社の宣伝で申し訳ない)CMSを説明するのはSix Apart(シックスアパート社)のMovable Typeの応用力を説明することとイコールなので、ブログから話を膨らませていくとわりと理解してもらえるようです。


ブログを知らない、分からない人は、むしろHTMLという言葉さえ分かってくれないので、どうしましょうか。

ExcelやWordを覚えるくらい、もしくはもっと簡単にホームページの記事の追加や更新が自社でできます、とでも言うしかないかも・・・。


それから、情報リテラシーが低い人たちに多いのが「ブログって日記でしょ」というもの。

ブログ=日記=せいぜい使えても“社長の日記”=自分の会社のホームページには関係ない。

3年くらい前だとこういう人が多かったのですが、さすがに減りました。


今や、様々な会社がいろいろなCMSを販売しています。

そこで、コンテンツマネジメントシステムを採用する最低限の条件です。


それは、汎用的なデータベースを利用していること(もしくは、できること)。

データベースのどこに何が登録されるかが公開されていることです。

お勧めはOracle、SQL Server、MySQL、PostgreSQLのいずれかのデータベースです。


どんなに安くて便利でも、もしこれら以外のデータベースを使っているとしたら、特に自社開発の・・・だったとしたら、やはりCMSを開発した会社の手の中で言われるがままにホームページなりサイトを作っていくしかありません。

運用費だけでなく将来の作りかえのコストを考えたら、最低限の条件はデータベースだと思います。


ちなみに、フリーでも有料でも有名ブログサイトは、大抵がMT(Movable Type)形式でデータをダウンロードして他のブログに引越しできるようです。


そういった面でMovable Typeはお勧めです。

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2009年06月15日

全脳思考からシステム開発のヒント

経営コンサルタントとしてあまりにも有名な神田昌典氏が新刊を出しました。

「全脳思考」ダイヤモンド社刊です。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478008361/ilovex-22/ref=nosim/

マーケティングを勉強したいと思っている技術者っていますでしょうか?


現在のこんな状況であれば、技術を高めるのも大事ですが、マーケティングを勉強することが、貴方の将来にもっと大きな力を与えてくれると思いますよ。

私が理想とするITコンサルタントに近いですね。


技術だけのITコンサルタントだと、売上管理、粗利管理といったマネジメントに関与できても、突出した新しい価値をもたらすような仕事に関与するのには運を天に任せないといけないでしょう。


でも、技術の上にマーケティングが加わったら、運ではなく自分自身で新しい価値を作りだすこともできるのです。


そんなわけで今週のお勧めは、この「全脳思考」。

450ページという厚さですが、軽々と読めるはずです。

この本を1冊読むことでマーケティングの重要なポイントがほとんど網羅されている。それも分かりやすく説明されているのでお勧めするわけです。


さて、本の宣伝はこのくらいにして、このメルマガはあくまでも「システム開発」についてのメルマガ。

片寄って一部分だけズームインしてみます。


では、本文63ページと64ページから


つまり、クオリティの高い思考には、論理の積み重ねだけでは
説明できない領域があることは、経験上わかっていたのであるが
どうすればその高みにいたれるのかを説明する明確な体系はこれまでなかった。


システム開発のプロジェクトで、詳細設計から全容を理解するのが無理な理由はこれだとわかりました。


で、その解決方法として、神田氏は、こう語っています。

ジグゾーパズルの完成後の全体像を見たあとは、どんな小さなピースにも全体が見いだせるようになる。
・・・・(略)
つまり、一度、全体像を理解してしまうと、部分には全体を完成させる強烈なエネルギーが宿りはじめるのである。


プロジェクトを成功に導くコツは、とにかく全体像を理解させること。

まずはこれなんです。


今日のシステムを成功させるポイント

積み重ねで全容を理解するのは難しい。

全容を見せて考え理解させよ。

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2009年06月23日

キャンドルナイトとゴキブリの関係

6月21日夜、「100万人のキャンドルナイト」が全国で行われました。
http://www.candle-night.org/m/

当日の夜は、各地で行われているイベントの中継やアーティストによるエコミュージックのライブをテレビで放送しており静かに盛り上がっていました。


でも、エコって非常に難しいですよね。私の周りにはこんなことを言う人も。

「エコバッグは確かにビニール袋の削減になるけど、エコバッグを大量に作っていたら、むしろ無駄になるんじゃない?」


エネルギーの使用量からエコかどうかを判断しようとすると、非常に複雑な要因が絡み合っているように思います。


それはさておき、このキャンドルナイトで重要なのは「はっきりと目に見える」ことです。

もちろん、電気を消してろうそくを一斉にともすという行為がロマンチックであることは重要です。


しかし、ロマンチックであることよりも、一斉にみんながイベントに参加していることが眼でわかることが、もっと重要なことなのです。


こんな逸話があります。


ある塗料メーカーが、ゴキブリの寄らない塗料を開発しました。

塗るだけで効果が得られるわけですから、すごい発明です!


ところが、これに優る商品があったのです。

みなさんご存知でしょう。「ごきぶりホイホイ」です。


ゴキブリが寄らない塗料は画期的な発明でしたが、残念ながら売上では「ごきぶりホイホイ」に圧倒的差をつけて負けました。


「ごきぶりホイホイ」が選ばれた理由は、もちろん効果が目に見えてわかることですよね。

粘着テープにヤツらが捕まっているのが見えますから。

塗料では、実際の効果はもっとあるのかもしれません。

しかし、皮肉なことにそれでは本当に効果があったのかわかりづらいわけです。


つまり、「100万人のキャンドルナイト」も「ゴキブリホイホイ」も人々の心をつかんだ理由は同じというわけです。


人の気持ちを動かすためには、「実際の効果」よりも「目に見える効果」がポイントであるということですね。


というわけで、バグの撲滅が一目でわかるバグ管理のフリーソフト「bug-zero」無料配布中です。システム開発に是非、ご利用ください。

http://www.ilovex.co.jp/info/freesoft/kenshu.html(PCサイト)


さて、無理やりこじつけしたような話とお考えだったでしょうか。

今回は、杉山ではなく、わたくし若輩2x歳の黒木がお届けしました。

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