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小説4

小出し4回目

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昼になり、学食へと向かう。

全学年の生徒が集まってくるため、早めに行かなければ良い席がとれなくなってしまう。

少し小走りになりながら学食へと向かった。

昼に入り、まだ5分程度しか経っていないのに、結構な人数が食券売場に並んでいた。

今日の定食は焼き魚のようだ。

テーブルの方に目を向けると、既に崇が大盛りの照り焼き丼を食べている。

こっちに気付くと腕を大きく上げ全力で振ってきた。

アホかあいつは…。

放っておくといつまでも振り続けそうなので、控えめに応える。

気付いたことが分かり安心したのか、ニヤリと笑い照り焼き丼の箸を進める。

何を食べようか迷ったが、崇と被ると運命だと五月蝿そうなので、カツカレーを頼んだ。

昼飯を手にテーブルに座ると、崇はもう半分近く照り焼き丼を食べ終わっている。

『早いな、もう半分か』

「まぁな、早食いは俺の特技55選の内の一つだしな」

…何やら語りだしそうな数字が聞こえたので無視することにする。

「ちなみに一番の特技は完徹した後に持久走が出来ることなんだぜ」

…っ。

自分から語り始めた。

このまま残り53の特技を聞かされる羽目になるのだろうか…。

「あ、そういや最近ニュース見てるか?」

『いや、あまり気になる話題はなかったけど、何かあったっけ?』

「アリもアリも、何か最近この辺で原因不明の失踪が多いらしいぜ」

失踪…そう言えば聞いたことがあるかもしれない。

確か一昨日にも起きて4人か5人にもなったとか。

あれは地元で起きている事件だったのか。

『あぁ聞いたことがある、あれってこの辺だったのか?』

「この辺も何も、この学校がど真ん中だよ。実際ウチの生徒も1人いなくなってるんだぜ。

家出扱いにされてるけど、俺は絶対事件に巻き込まれたんだと睨んでるね」

まぁ、家出ぐらいなら、俺達ぐらいの年齢なら誰でも1度は考えるのではないだろうか。

中高生で家出という行為はある種憧れに近い。

そういえばコイツも一度やったんだった。

怒り狂った父親に半殺しにされ、引きずり戻されたらしいが。

あの時は驚いた。

俺は家出するぞ、とか豪語しながら帰宅し、次の日には全身湿布と包帯姿で登校してきた。

あの時ほどウチの両親が穏健であることに感謝した日はない。

「そういうワケでな、俺も最近は夜遊びを控えてんだ」

『何だ、お前なら「そんなヤツは俺が取っ捕まえてやる!」とでも言うと思ってたけどな』

「おいおい、俺だって大人数と凶器は怖いよ」

『え、集団で誘拐でもしてんのか?』

「分からないけど、そうだったら怖いじゃん」

喧嘩上等の生活を送ってきた人物とは思えないセリフが聞こえてきた。

いや、だからこそ逆に怖さを知っているのだろうか。

「さて、飯も食ったし、食後の運動するかな。マベチンもやる?」

大盛りを食べておいて、食後の運動とは恐れ入った。

軽く流すぐらいならいいかと思ったが、まだカツカレーは半分も食べていない。

「いや、まだ食い終わってないし、今日はいいや」

よく考えてみれば、食後コイツのテンションについていける自信がない。

食後の運動と言いながら全力疾走したり長距離走ったりするに違いない。

「そうか、じゃまたな!」

そう言って元気に走っていく。

時計をみると、さっきからまだ10分も経っていないことに気付く。

話しながら大盛りを食べ切るとは、将来有名な早食い王になるに違いない。

...to be continued

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