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2007年12月 アーカイブ

2007年12月04日

時間は管理できない

フランクリン・プランナーという手帳をご存知でしょうか。

「7つの習慣」という全世界で1,500万部、日本で100万部を売った、ビジネス書の大ベストセラーがあります。

この本に書かれている、「時間は管理できない。(なぜなら誰にでも24時間しかないからである)
しかし、自分の行動は、管理できる」という観点から、自分が、本当に大切に思うことを実行する為のツールとして、この手帳があります。

私の印象では、コンサルタントや経営者には、この手帳を使っている人が多いように思えます。

以前は私自身も、小さな貰い物の手帳や、ザウルスのようなPDAなどを使っていましたが、そのときには、手帳に、人との約束(自分が誰と、どこで、いつ会うのか)といったことを書き記すに過ぎませんでした。

2、3年前からフランクリン・プランナーを使い始めたのですが、気に入って手離せなくなりました。手帳の中身を見ただけでは、他の手帳とどこが違うのか、分からないかもしれません。

しかし、明らかに思想が違うのです。時間の使い方に関する思想というのは、次のようなものです。

【時間とは、何か?
時間とは、連続した出来事である。出来事というのは、朝、起きた。顔を洗った。食事をした。家を出た。といったものである。
一人の人に与えられる時間は、1日24時間、誰にも同じである。
ところが、時間は、連続した出来事であると考えると、人が何をしたか?ということは、人によってまったく異なるのである】

【時間は、管理できないが、何をするべきか、何をするかは、管理できる】

これらが、手帳を使う最初の思想となっています。

次に、自分が何をすべきかを分類分けして教えてくれます。

【第1領域 緊急性が高く、重要であること】
【第2領域 緊急性は高くないが、重要であること】
【第3領域 緊急性が高いが、重要でないこと】
【第4領域 緊急性が高くなくて、重要でないこと】

この、第1領域の出来事は、何が何でもやらなければならない、必須のこととなります。
これが多い人は、ストレスが非常に高くなります。

第3領域は、「人が約束なしで尋ねてきた」「電話がかかってきた」「意味のない会議やドキュメント作成をすることになった」「急に雑務を言いつけられた」といった、そこまで重要ではないが、緊急性が高いものです。
この第3領域に、人は時間を浪費してしまうようです。

そして、第2領域。
例えば、1ヶ月後の納期のプロジェクトの仕事であったり、1週間後に約束したプレゼンテーションの資料といった、緊急性は高くないが重要なものです。
これを、つい後回しにしてしまうのです。

つまり、重要性よりも緊急性を選択してしまうわけです。

本質的に、時間をどのように使うべきか、という視点でみた場合には、当然のごとく、緊急性がないときに重要なことをやっておく、つまり、第2領域の仕事をつぶしておくことが、第1領域に入った場合に楽ができることになります。

常に第2領域に注力して、前倒しで作業をすすめるということが、とても重要になるのです。

なぜならば、第2領域の出来事は、放っておけば、確実に第1領域に移るからなのです。
第1領域に入ってしまえば、すべてのことよりも優先させなければならないからです。

これらの思想は、スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」にも書かれており、フランクリン・プランナーがセミナーを幾つか開催しています。

わたし自身も、この本や手帳で人生がずいぶんと変わりました。

自己啓発に興味を持っている人には、おそらく、最強のツールだと思います。

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2007年12月11日

時間は管理できない2

「時間そのものは、管理できない。なぜなら、一人に与えられる一日は誰にも平等で24時間しかないからだ。」

だから、「何をすべきかを管理する」というお話をさせていただきました。
そこで、自分自身が何をすべきか、それを管理するツールとして、手帳があるということでした。

では、プロジェクトのスケジュールを管理するのは、どんなツールなのでしょうか。
もちろん、プロジェクト管理にもスケジュール表があります。

システムの見積金額は“人月”という言葉で表されるように、人が1ヶ月働いて幾ら、という見積もりが基本となります。
SEが3人投入されて、1ヶ月で出来る仕事は“3人月”と呼びます。
だからこそ、1ヶ月で終了すると決めた要件定義が、2ヶ月経っても終了しないとすれば、そのコストは、明らかに2倍以上かかっているのです。

しかし、「管理する」という言葉を、「最初に決めたスケジュール通りに実行する」ということだと誤解してはいけません。

なぜなら、プロジェクトにおいては、「突発的な出来事」、「予想外の出来事」が、起きないことのほうが珍しいからです。
規模が大きくなればなるほど、最初に決めた順番が、守られなくなることが多くなります。

そんな時、大抵のSEは「魔法で事態をリカバリする能力があればいいなあ」と天を仰いで思うものです。

もちろん魔法などあるはずもありません。

そこで、【現時点におけるスケジュール進捗状況】、【見積りの見直し】、【要員の増加の検討】が必要になってくるのです。

急に顧客企業の事業戦略が変わった、などの理由による追加仕様が優先されるのか、それとも、これまでやってきた約束作業の完了までが優先されるのか、このような適宜な判断も必要になってきます。

もちろん、時間が管理できないのである以上、プロジェクト管理においても、管理されるものは、「何をすべきか」「何をしないでおくべきか」ということになってくるわけです。

プロジェクトマネージャに必要とされる能力は、何かを拾うために何かを捨てるといった「トレードオフ能力」、最終的には、深い洞察と野性の勘からくる「統合バランス能力」なのではないかと思います。

差し迫った状況内においてだけでなく、何かをする時には必ず、限られた時間を使って、本当にこれをする必要があるのか?
そしてそれは、「最優先事項であるのか」を問う必要があるのです。

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2007年12月18日

PMの仕事を考える

年末が近づいてまいりました。

忘年会も頻繁に行われるし、年明けの納品を睨んでいる人たちにとっては、厳しいスケジュールが続いていることでしょう。

今年の年末から来年のお正月にかけてのお休みは、9日間という企業が多いようです。(当社も、珍しく9連休とさせていただきます)

この休みを嬉しいと思っていたSEも、いざ休みを目の前にすると、スケジュール通りに仕事が進んでいない現実を目の当たりにして、どうしようと悩んでいる場合が多いのではないでしょうか。

休みになると、好きなときに、好きな時刻に会社にやってきて、ちょっと仕事をして、すぐ帰ってしまうという技術者を見かけます。
(こういう人達が出社するのは、午前中ということは、決してありません)

彼らが単に「前倒し作業」を心掛けて、部下が少しでも仕事をしやすいように準備しているのだとすれば、それはとても良い心掛けです。

しかし、そういう人ばかりではありません。

遅れてしまっている作業を行うためであったり、タスク一覧には載っていなかった作業で、人には言えない作業を行うために、会社に来る人もいます。

また、納期を守るためという御旗のもとに、納期前日になって徹夜をする技術者がいます。
私には、納期前日の徹夜作業という事態が、疑問に思えるのです。

例えば、その作業が工数24時間以内程度の小さな仕事であったならば、多少の見積もりミスが生じて、徹夜作業になってしまったということはあるでしょう。

しかし、数人の作業者が何週間もかかる作業が、最後の1日に徹夜して、ぎりぎりで間に合うということがあるものでしょうか?

要するに、何を言いたいかというと、納期の前日になって徹夜しなければならなかったという仕事は、完全に作業を終えていないのではないか、ということなのです。

納期直前になって、到底終わらないことに気づき、徹夜作業になったが、結局、時間切れになってしまったのではないか、ということなのです。

あとどの位で作業が終わるかを、勘に頼ってスケジューリングしていると、こういう事態になります。

もちろん、システム開発の仕事というのは、スケジュール通りに進むことが難しい仕事です。

たからといって、それまで徹夜していなかった作業者が、最後に、つまり納期の前日に徹夜して、ちょうどぎりぎりで間に合った、などという偶然を信じることはできません。

納期の前日の昼間にきっちり終了していない仕事については、どう考えても、徹夜をするのではなく、1日、2日伸ばしてもらうべきなのではないか。
徹夜をすれば、ぎりぎり間に合いそうだと思ったとしても・・・。

いやいや、その何日か前に交渉すべきだとか、もっと生産性をあげるとか、仕事を調整して減らすとか、他にできることは1週間前ならもっとあったはずです。

SEは、プログラマを抱え、部下の管理だけでなく、お客さまとのやりとりをしなければならない、日々、常に多くの仕事があります。

その日常の中で、雑用に追われ、仕事で「やっていないこと」が見えてないことがあるのです。
だから、こういう長い休みのときに、1日、会社に出て、客観的に全体を見直すこと、役割、分担、売上、原価、手法などあらゆる面から見直すのは、良いことだと思うのです。

そこで提案です。

「休みの日に、プログラムを作る、直す、チェックするなどの現場作業をしない。」と、一度、宣言するのはどうでしょうか。

その上で、自分がしなければいけないタスクを再度洗い出して、チーム全員で残作業を常に共有していく。

本来のPMの仕事は、潔く、真実を見つめることから始まるのです。

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2007年12月26日

「7つの習慣」のご紹介

長い休みを前にして、何か本を紹介しようと思っていました。

個人的な話になりますが、本読みが好きで多読です。
小学校低学年の頃から本を乱読していました。
だから、読むのがかなり速いのです。

読み終えた直後は、感動したり、様々な読後感が残っているのですが、多読ゆえか、速読ゆえか、なかなか、これ1冊をという本がありません。

SE、経営者になってからは、専門書も読むようになりましたが、1年も経ってしまうと、本を読んだということは覚えていても、本に何が書いてあったかまで、覚えている本は本当に少なく、これって読書する意味があるのだろうか?と自分でも疑うくらいなものです。

このメルマガは、どちらかといえば若いSEを対象に書いています。
紹介するには、要件定義について書かれた本がいいのか、コミュニケーションについて書かれた本がいいのかと迷っていましたが、冬休みに読むには適していないと思い、これに決めました。
 
「7つの習慣 成功には原則があった」スティーブン・R・コヴィー著 / キングベアー出版
Amazon.co.jp
 
既に、読まれた方も多いかもしれませんが、読み返すごとに、何か新しい気付きがあります。

この素晴らしい本を要約するのは、恥ずかしく、気が進みませんが、なぜここで紹介しようと思ったかを簡単に説明したいと思います。

SEやプロジェクトマネージャーという仕事上の職務において、普通の人は「業務知識を得たい」、「コミュニケーションスキルを磨きたい」、「見積でミスしない方法を知りたい」、「リスク管理の勉強をしたい」と思っています。

もちろん、私自身も長い間、そう思ってきて、技術的な専門書をひたすら読んできました。

しかし、どうしても技術的なテクニックだけでは、うまくいかないことがあるのです。
いいえ、うまくいかないプロジェクトの方が多いと言っても過言ではないでしょう。
ほとんどのプロジェクトが、問題を抱えているのです。

予算が厳しい、納期が短いといった、在り来たりの問題だけでなく、チーム内部の問題、取引先との問題もあるでしょう。
それ以外にも、メンバ間の人間関係、本人の家族の問題があります。
家族だけでなく、彼女や彼との問題、広げれば友人との関係性の問題もあるのです。

こういった場合に、個人の価値観の違いが出てきます。
お客さまの価値観、奥さんの価値観が、「人が足りない」「仕事が切羽詰っている」という、技術者としての自分の考えと合わず、苦しむのだと思います。

この本が示している「原則」で、一番素晴らしいのは、公的成功の前に個人としてのあなたの考え方、行動において、「毎日の私的成功」をしなさいと言っていることです。

仕事をとるか家庭をとるか、などという選択はこの本には書いてありません。

私たちの人生が1つのプロジェクトだと考えれば、それは明らかでしょう。
仕事なのか、家庭なのか、遊びなのか、といった選択肢の中から1つだけを選ぶのは、人生においては、明らかに間違っているからなのです。

原則で考え、主体的に選択しなさい、と教えてくれます。
また、原則に忠実、スケジュールに柔軟であれ、とも教えてくれます。

特に人の問題については、短絡的に能率を考えることはできないと教えています。

「個性主義のテクニックやスキルだけで、人間関係を円滑に、そして、スムーズに進めようとする風潮がある。しかし、そういったテクニックではなく、本来は、私たちの人格そのものが問われるのである。」と言っています。

人生について、私生活をどう生きるかについて、大きな示唆を与えてくれるこの本を読めば、たった1つのプロジェクトが抱えている問題など、取るに足らないことだと思えてきます。

その上、プロジェクトが抱えている問題こそは、人生の中でもっと大事な、常にあなたの前に立ちはだかってくるあなた自身の問題そのものであることに気が付くのです。

人生はあまりに長いように思え、また、多くの成功がちらつきすぎて、何に向かって努力してよいか分からず、人は迷ってしまうのでしょう。

この本を読むと、プロジェクトの成功のためにSEとして何をすべきかが、きっと分かるでしょう。
そしてそれは、人生における自分自身の成長のためにすべきことと同じなのだということも理解できるでしょう。

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