「時間そのものは、管理できない。なぜなら、一人に与えられる一日は誰にも平等で24時間しかないからだ。」
だから、「何をすべきかを管理する」というお話をさせていただきました。
そこで、自分自身が何をすべきか、それを管理するツールとして、手帳があるということでした。
では、プロジェクトのスケジュールを管理するのは、どんなツールなのでしょうか。
もちろん、プロジェクト管理にもスケジュール表があります。
システムの見積金額は“人月”という言葉で表されるように、人が1ヶ月働いて幾ら、という見積もりが基本となります。
SEが3人投入されて、1ヶ月で出来る仕事は“3人月”と呼びます。
だからこそ、1ヶ月で終了すると決めた要件定義が、2ヶ月経っても終了しないとすれば、そのコストは、明らかに2倍以上かかっているのです。
しかし、「管理する」という言葉を、「最初に決めたスケジュール通りに実行する」ということだと誤解してはいけません。
なぜなら、プロジェクトにおいては、「突発的な出来事」、「予想外の出来事」が、起きないことのほうが珍しいからです。
規模が大きくなればなるほど、最初に決めた順番が、守られなくなることが多くなります。
そんな時、大抵のSEは「魔法で事態をリカバリする能力があればいいなあ」と天を仰いで思うものです。
もちろん魔法などあるはずもありません。
そこで、【現時点におけるスケジュール進捗状況】、【見積りの見直し】、【要員の増加の検討】が必要になってくるのです。
急に顧客企業の事業戦略が変わった、などの理由による追加仕様が優先されるのか、それとも、これまでやってきた約束作業の完了までが優先されるのか、このような適宜な判断も必要になってきます。
もちろん、時間が管理できないのである以上、プロジェクト管理においても、管理されるものは、「何をすべきか」「何をしないでおくべきか」ということになってくるわけです。
プロジェクトマネージャに必要とされる能力は、何かを拾うために何かを捨てるといった「トレードオフ能力」、最終的には、深い洞察と野性の勘からくる「統合バランス能力」なのではないかと思います。
差し迫った状況内においてだけでなく、何かをする時には必ず、限られた時間を使って、本当にこれをする必要があるのか?
そしてそれは、「最優先事項であるのか」を問う必要があるのです。
Vol.00125