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伝票を回す

とうとう本年最後のメルマガとなりました。
2008年も大変お世話になりました。

未曽有(この言葉、気に入ってすぐ使っちゃいます)の世界的経済危機の中、いろいろな思いで年末を迎えることになりました。

リーマン・ブラザーズが倒れ、あの「トヨタ」ですら営業赤字になる可能性が報道されています。(12月19日現在)

営業利益が2兆円を超え、我が世の春を謳歌した(?)あの3月から1年も経たないうちに…、誰がこんなことを予想したのでしょうか。

と、他社のことを憂いている場合じゃありませんね。

「なんでもあるんだ」ということがこれほど、実感できることも今までなかったわけですから、「なんでもある」→「なんでもできる」といった風に前向きにとらえていくチャンスだと思っています。

前置きは以上にして、前回はレジの話をしました。

POSレジなんてメーカーは限られているし、請負や派遣の仕事には関係無いと思っているあなた、レシートひとつをとっても、そこから学ぶことは幾つもあるということが分かっていただけましたか?

例えば、忘年会のゲームとしてこんなイベントをしてみてはいかがでしょうか?

コンビニで買った商品を3つほど見せて、ここからいかに本物のレシートに印刷されている項目を予測するかという「レシート再現コンテスト」を行うのです。

こんなことを考えるのは仕事中毒の証拠ですね。

さて、社内業務の仕組みでレシートに代わるもの。
それは、「伝票」です。

伝票という言葉がすでに「何?それ」という感じかもしれませんが、簿記を勉強された方や、販売管理システムに携わった経験をお持ちの方であればご存知のはずです。

前々回からのテーマである、「コンピュータが無いときに人はどうやって業務を遂行していたのか?」ということなのですが、コンピュータが無い時代には、売上伝票、仕入伝票、入金伝票、支払伝票、振替伝票、出荷伝票・・・という様々な種類の伝票を使っていました。

他部門や他社との関係の中で「発生した取引」を簿記では、仕訳(しわけ)という言葉を使い、伝票に記入していました。

これを「仕訳伝票」といいます。

「モノ」「カネ」が動く場合は、必ずその部門の担当者が仕訳伝票を記入し、その伝票を経理の担当者が記帳していたのです。

ただし、企業規模が大きくなり、「仕訳伝票」だけでは情報を管理することが難しくなってきました。

例えば、取引先を登録する、受注を受け付けるということは、経理の作業とは関係ありません。

それでもシステムでは取引先を登録し、受注を入力する画面を必要とします。

こういったものも仕訳とは異なりますが、「伝票」という紙に書くことはできます。

「取引先登録申請伝票」「受注申請伝票」といったものです。

例えば、新規に取引をしたい取引先が現れたとき、担当者は「取引先登録申請伝票」に記入します。

伝票に記入する理由は大きく分けて、

1)誰が、いつ、どういう理由で何を申請したのかを記載する(発生の根拠)
2)伝票を他部門(他社)に渡すことで情報を受け渡す(情報の伝達)

といったことになります。

だから日付、担当者(記載者)は伝票にとって最重要になるわけです。

取引先登録申請伝票は複写式で、1枚は自分に、そしてもう1枚は部門長に提出します。

自分が保管する伝票は「取引先登録申請伝票(控)」です。

何時その伝票を記載して部門長に渡したのかを控えとして保存することで、万が一に備えるわけです。

このように、伝票には「(控)」というコピーを保存して、

3)万が一の情報紛失に備える

という機能もあるのです。

部門長はこの申請伝票を確認し、承認欄に印を押して、取引先台帳に記載する担当者に回します。

これが部門長一人の場合もあれば、部門長→経理課員→経理部長といったルートで回ることもあるでしょう。

この場合には、伝票上にその個数だけ承認欄として日付・担当者名の捺印欄が必要となるのです。

このように、伝票の項目レイアウト設計をする場合には、業務運用の流れが頭に入っていなければなりません。

だからこそ、伝票に必要な項目がどれだけ思い浮かぶかが、業務運用フローをどれだけ理解しているかのテストになるのです。

こういうときには「5W1H(When,Where,Who,What,Why,How)」はもちろん有効ですが、コンピュータシステムを考えるとき、画面や帳票を考える前に、まず手書きの伝票で業務運用を回すということを考えてみてください。

それでは、良いお年をお迎えください。

Vol.00174

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2008年12月24日 11:30に投稿されたエントリーのページです。

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