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スケジュール アーカイブ

2007年10月30日

「スケジュール管理」について

プロジェクト管理において、プロジェクトマネージャーであるSEの役割は、当然のごとく最重要となります。

SEは、設計をする人、業務運用を考える人というだけではなく、プロジェクトを推進していく役割を担います。

大規模システムでは、プロジェクト管理だけで1人専任をつけることが、望ましいのですが、コスト負担を考えると、どの規模から専任をつけるべきかは大きく悩むところです。

さて、SE経験がなくてもプロジェクト管理ができるのか?という質問をいただきますが、プログラマ経験がなくてもSEができるのか?といったことと同様に、結局は、人による、能力によると思っています。

ただ、経験がある方が、より望ましいし、本人も成長しやすいことだけは確かです。

他山の石。

スーパーSEが身近にいなくとも、数多くの先輩SEと付き合ってきた経験や情報が、自分のプロジェクトマネジメントの糧になることだけは、間違いないのです。

マネージャーになって、初めて「プロジェクト管理」を考えるようでは、既に遅いのです。
常に将来の自分を見据えて、いえいえ、今、自分がプロジェクト管理を仰せ付かっていると思って
仕事に臨みましょう。

まずは、「スケジュール」についてです。
スケジュールは、プロジェクト管理の中で最重要な管理の一つです。

ところが、若手SEは、スケジュールをプロジェクトの開始時に立てたときから、変更しないことが多いのです。
いや、むしろスケジュール感というものを、自分のものにしていない人が多いのです。

例えば、新人に、一週間で成果を出す仕事を一つ与えてみれば、すぐわかることなのですが、明らかに、何の戦略もなく、時間を均等に分割して、スケジュールを立てる人がいます。

また、たった一つの仕事なのに、100%その仕事にかけてしまうということが言えるでしょう。

40時間作業する予定として、40(時間)÷5(日)=8で、月曜から金曜まで毎日8時間作業すると、見立ててしまうのです。

日々、どこまでやる、という分割スケジュールを作る人は、まだ、まともな人です。

どこまで作業が終わったら半分なのか、5分の1なのかも考えず、とにかく作業に入る、という人が一番多いのではないでしょうか。(あくまでも新人の場合ですよ)

そして、水曜が終わった頃に、半分出来上がっていなくても、「まだ2日ある」と考える人が多いことにも驚きます。

一番、多いパターンは、たぶん、金曜の朝になって、「今週中と言われましたが、今日中には終わりません」という報告をする人です。

先輩たちは、毎年のことで慣れていますから、途中・途中で、「どう、今、どこまでやっている?間に合いそう?」などと声がけをします。

こういう場合に返ってくる返事は、大抵「うーん」(自分でもどうなのかが、さっぱりわかっていない)「でも頑張ります」といったものです。

先輩SEが、できるSEの場合は、当然、今週中と言われたものをチェックする場合、いくつかのマイルストーンを持たせるはずです。

例えば、何かの文書・ドキュメントを書かせる場合について考えてみましょう。
【1.仕事の方向性があっているかのチェック】
文書であれば、全体の構造やテーマなどのチェックをします。5日の仕事であれば、ここに1日もかけてはいけないでしょう。
【2.書き出して直ぐに文章形式や体裁など、記述の細かなルールのチェック】
【3.書いている内容が進んでいるかどうかのチェック】
【4.本人が「出来上がりました」というレベルでのチェック】

この4までを、5日分の4日で終えるべきなのです。
木曜の夜までにここまで終わっていなければ、5日で作業終了は絶対にできません。

プログラムも同じです。

5日でプログラミング(単体テストも含めて)を行うのであれば、4日で動くところまで作っていなければ、絶対に5日では終わりません。

5日の朝にコーディングが残っているようでは、どう考えても無理なのです。
4日の夜、徹夜をして仕上げるのでは、「遅すぎる」のです。

万が一、徹夜をするのであれば、3日目までにすべきなのです。

こういったことを含めて、スケジュール感を、なるべく早いうちに身に付けることが大事なのです。

頑張ればできる。
確かに自分1人のうちは、この手も通用します。

しかし、複数の人数を束ねるプロジェクト管理では、一切通用しないのです。

プロジェクトマネージメントの能力は、仕事だけでなく、私生活でも通用するものです。

スケジュールを立て、自分を管理し、報告する習慣を身に付けてください。

「プロジェクトマネージャーになったらやる」では遅いのです。

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2007年12月04日

時間は管理できない

フランクリン・プランナーという手帳をご存知でしょうか。

「7つの習慣」という全世界で1,500万部、日本で100万部を売った、ビジネス書の大ベストセラーがあります。

この本に書かれている、「時間は管理できない。(なぜなら誰にでも24時間しかないからである)
しかし、自分の行動は、管理できる」という観点から、自分が、本当に大切に思うことを実行する為のツールとして、この手帳があります。

私の印象では、コンサルタントや経営者には、この手帳を使っている人が多いように思えます。

以前は私自身も、小さな貰い物の手帳や、ザウルスのようなPDAなどを使っていましたが、そのときには、手帳に、人との約束(自分が誰と、どこで、いつ会うのか)といったことを書き記すに過ぎませんでした。

2、3年前からフランクリン・プランナーを使い始めたのですが、気に入って手離せなくなりました。手帳の中身を見ただけでは、他の手帳とどこが違うのか、分からないかもしれません。

しかし、明らかに思想が違うのです。時間の使い方に関する思想というのは、次のようなものです。

【時間とは、何か?
時間とは、連続した出来事である。出来事というのは、朝、起きた。顔を洗った。食事をした。家を出た。といったものである。
一人の人に与えられる時間は、1日24時間、誰にも同じである。
ところが、時間は、連続した出来事であると考えると、人が何をしたか?ということは、人によってまったく異なるのである】

【時間は、管理できないが、何をするべきか、何をするかは、管理できる】

これらが、手帳を使う最初の思想となっています。

次に、自分が何をすべきかを分類分けして教えてくれます。

【第1領域 緊急性が高く、重要であること】
【第2領域 緊急性は高くないが、重要であること】
【第3領域 緊急性が高いが、重要でないこと】
【第4領域 緊急性が高くなくて、重要でないこと】

この、第1領域の出来事は、何が何でもやらなければならない、必須のこととなります。
これが多い人は、ストレスが非常に高くなります。

第3領域は、「人が約束なしで尋ねてきた」「電話がかかってきた」「意味のない会議やドキュメント作成をすることになった」「急に雑務を言いつけられた」といった、そこまで重要ではないが、緊急性が高いものです。
この第3領域に、人は時間を浪費してしまうようです。

そして、第2領域。
例えば、1ヶ月後の納期のプロジェクトの仕事であったり、1週間後に約束したプレゼンテーションの資料といった、緊急性は高くないが重要なものです。
これを、つい後回しにしてしまうのです。

つまり、重要性よりも緊急性を選択してしまうわけです。

本質的に、時間をどのように使うべきか、という視点でみた場合には、当然のごとく、緊急性がないときに重要なことをやっておく、つまり、第2領域の仕事をつぶしておくことが、第1領域に入った場合に楽ができることになります。

常に第2領域に注力して、前倒しで作業をすすめるということが、とても重要になるのです。

なぜならば、第2領域の出来事は、放っておけば、確実に第1領域に移るからなのです。
第1領域に入ってしまえば、すべてのことよりも優先させなければならないからです。

これらの思想は、スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」にも書かれており、フランクリン・プランナーがセミナーを幾つか開催しています。

わたし自身も、この本や手帳で人生がずいぶんと変わりました。

自己啓発に興味を持っている人には、おそらく、最強のツールだと思います。

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2007年12月11日

時間は管理できない2

「時間そのものは、管理できない。なぜなら、一人に与えられる一日は誰にも平等で24時間しかないからだ。」

だから、「何をすべきかを管理する」というお話をさせていただきました。
そこで、自分自身が何をすべきか、それを管理するツールとして、手帳があるということでした。

では、プロジェクトのスケジュールを管理するのは、どんなツールなのでしょうか。
もちろん、プロジェクト管理にもスケジュール表があります。

システムの見積金額は“人月”という言葉で表されるように、人が1ヶ月働いて幾ら、という見積もりが基本となります。
SEが3人投入されて、1ヶ月で出来る仕事は“3人月”と呼びます。
だからこそ、1ヶ月で終了すると決めた要件定義が、2ヶ月経っても終了しないとすれば、そのコストは、明らかに2倍以上かかっているのです。

しかし、「管理する」という言葉を、「最初に決めたスケジュール通りに実行する」ということだと誤解してはいけません。

なぜなら、プロジェクトにおいては、「突発的な出来事」、「予想外の出来事」が、起きないことのほうが珍しいからです。
規模が大きくなればなるほど、最初に決めた順番が、守られなくなることが多くなります。

そんな時、大抵のSEは「魔法で事態をリカバリする能力があればいいなあ」と天を仰いで思うものです。

もちろん魔法などあるはずもありません。

そこで、【現時点におけるスケジュール進捗状況】、【見積りの見直し】、【要員の増加の検討】が必要になってくるのです。

急に顧客企業の事業戦略が変わった、などの理由による追加仕様が優先されるのか、それとも、これまでやってきた約束作業の完了までが優先されるのか、このような適宜な判断も必要になってきます。

もちろん、時間が管理できないのである以上、プロジェクト管理においても、管理されるものは、「何をすべきか」「何をしないでおくべきか」ということになってくるわけです。

プロジェクトマネージャに必要とされる能力は、何かを拾うために何かを捨てるといった「トレードオフ能力」、最終的には、深い洞察と野性の勘からくる「統合バランス能力」なのではないかと思います。

差し迫った状況内においてだけでなく、何かをする時には必ず、限られた時間を使って、本当にこれをする必要があるのか?
そしてそれは、「最優先事項であるのか」を問う必要があるのです。

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2008年03月25日

パーキンソンの法則とは?(スケジュール管理)

某国の役所の予算のように、そこに予算がある限り、人はそれを使ってしまうものなのでしょうか。

パーキンソンの法則とは、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」ということです。

プロジェクト管理においては、プログラムの1本1本の工程が細かくスケジューリングされています。

余裕のないスケジュールが、ほとんどであるためか、一人ひとりの生産性というものに、差異があるためか、実際にはスケジューリングは、仕事を進めながら、何度もリ・スケジュールされていくことが通常です。

しかし、どんな場合でもスケジュールを提示するのには覚悟が必要です。

心優しいリーダーが、スケジュールを少しずつ緩やかに引いたときはどうでしょうか。

ほとんどのスタッフが、納期に間に合うように、ゆっくりと仕事を上げてくるに違いありません。

かといって、毎日のように、明らかにどんどんスケジュールが遅れていくような、見込みの無い計画であっていいはずもありません。

今までの経験値からだけで申し上げますと、1週間に1日以上は遅れない、そしてぴったり間に合ったりはしない、10%~15%増し程度のスケジュールが、理想といえます。

なぜ、ぴったり間に合ったりしないのか?それは、ぴったり間に合うために、スタッフが調整しているかもしれないからです。

チーム全員の息が合って、誰が何を何時間でしているのか、全員が分かっている場合には、こういうことは起こりません。

しかし、ちょっとプロジェクトが大きくなってしまったり、リーダーが他のことに気を取られて、スタッフを野放図にしてしまった場合に、ぴったり間に合っているということは、むしろ、余裕がありすぎたと思うべきなのです。

また、たとえ間に合わなかったスケジュールだとしても、月曜から木曜までは、予想通りの進捗だという報告だったのに、金曜になったら、いきなり「間に合いそうも無い」という報告に変わることも要注意です。

これこそ、夏休みの宿題の前倒しではなく、最後にやればいい方式の失敗といえるでしょう。

リーダーは各スタッフの主体性を重んじることも大事ですが、スケジュールについては、スタッフに任せてしまうことは、望ましくありません。

なぜなら、誰かが早く仕上がらない限り、遅れるスタッフが1人でもいれば、それは確実に、システム全体のコストや納期遅れ、品質の低下に繋がってくるからです。

リーダーがスタッフごとに「どんな場合に遅れて、どんな場合に予定より速く仕上がったのか」をヒアリングしながら、常に調整していくことも必要です。

そして、結局、遅れたスケジュールをチームとして取り戻すバッファが必要となるのです。

これは、人を増やすといったことだけが、スケジュール遅延をリカバりする方法だ、と信じている人たちには、プロジェクト管理の方法として、みなされないでしょう。

しかし、実際の話、差し迫った状況の中で、人を増やして解決するようなことは、非常に少ないのです。

だからといって増やさずに解決もしがたいのですけどね。

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