今週のアイロベックス

物としての本

夏休み、部屋の片付けを行い、
学生の頃からの持ち物を大分整理しました。
私の荷物のうち、最も扱いに困ったのが大量の本で、
処分に苦労しました。
世界の名著だとか、世界文学全集だとか、
買った当時は「いつか読もう」と思っていたものの、
そのまま埃をかぶった本がたくさん眠っているのです。
今ではとても読む時間がないことが分かっているし、
もしも読みたくなったのなら、その時に買いなおせば良いのでしょう。
それでも、なぜか本が手放せず、ずるずると買い込んでしまいます。
私は物としての本が好きだからなんでしょう。
今回はそんな話です。

実際、私は本をかなり買う方だと思いますが、
本当のところは、本を読むよりも、
むしろ触ったり、眺めたりするのが好きです。
(もちろん読むのも好きですが)
飾るために買う、というのもあながち冗談ではないかもしれません。
新品の本は、内容以前に、ただそれだけで魅力があります。
傷一つ付いていない、美しい本の装丁だとか、
誰の手にも触れられていない、まっさらな紙の感触だとか、
刷り立ての本の清潔な匂いだとか、
「物としての本」の魅力に溢れています。
本は買った当日が一番読めるように思うのですが、
新本の持つ魅力というか魔力のような何かが
一役買っているように私には思えます。

反対に、古い本は古い本で味わいがあります。
大学の卒論を書く際、担当教官の薦めに従い、
戦前に発刊された本を参考文献として読んだことがあります。
カバーが図書館員に補強され、変色して染みができていました。
旧字体なので読みにくく、内容よりも漢字の読み方に悩まされましたが、
慣れると今現在出版されている本と同様に読め、驚きました。
(明治時代の小説が読めるのだから当然といえば当然なのですが)
半世紀以上前の学生も、同じ本を借りて、
同じように考え、悩み、勉強していたのかと、
なかなか感慨深かったです。

忙しくて本を読む時間がない、と感じている方は多いと思います。
手にとって、眺めてみて、「物としての本」を味わうだけでも、
それはそれで、本の楽しみ方のひとつではないでしょうか。

編集後記
やはり秋といえば、読書の秋ですよね!

私も本という物自体が好きで、部屋は本で埋もれています。
図書館や本屋になら、何時間でも居られます。
本がたくさん並んでいるというだけで、嬉しくなりますよね。

次号9月25日の担当は石塚です。お楽しみに!

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