理系にあって文系にないシンプル思考法

2011年6月 5日  仕事一般  中津川

【問題】
昔、ある殿様が、外国の宣教師が献上したゾウの「目方を量れ」と言い出した。
ゾウを載せるほど大きな秤などない時代、家来たちはすっかり困ってしまいました。
あなたならどうしますか?

条件1:ゾウを殺してはいけません
条件2:ゾウを載せるほど大きな秤はありません


この問題を考える思考法こそが、理系思考法=シンプル思考法です。


どんな問題も合理的にこなせる、オールラウンド・プレーヤーを目指している方。
自分は文系だから、理系的な思考法なんて全然ムリと思ってしまっている方。
「先が見えない」時代において、成功をつかみ取りたいと思っている方。

文系出身者でも「どれだけ、理系的な頭を持っているか」が問われる時代です。
人生の「最強のガイド役」になる思考法といっても過言ではありません。

理科系の知識がなくても、安心して読める内容です(実際、私はド文系です)。
人生の「最強のガイド役」になる思考法に、一度触れてみてはいかがでしょうか。


本書で紹介されているシンプル思考法を3つご紹介します。
どの考え方も、ビジネスにおいて大事な考え方です。

【その1】「要素の分解 → 組み合わせ」で考える

問題解決の秘訣は、「要素の分解→組み合わせ」で考えることが重要です。

目の前に、大きな問題や課題が出て来た際、その問題や課題を分解し、分解した要素を別のものと組み合わせて解決案を作成していくということです。

私は、これをよく、因数分解と言っていました。これは、数学だけでなく、法律を勉強した際にも学び得たひとつの考え方でした。

事件や人間の動作を因数分解して、法律に適合させていく。

本書を読んで、改めて法律を通して学んだ思考法が、課題解決に役立つ思考法であると、自信を持つことができました。


【その2】頭の中に「五角形」を描く

「頭の回転が速い人」の思考法とは、五角形を意識しながらの高速思考展開です。人間の頭の作りは、みな同じです。この高速思考展開が習慣になることで、「回転の速い」人と思われるのです。


五角形とは、下記の5つになります。
(1)知り、見つける
(2)集め、整理する
(3)つなぎ、関連づける
(4)理解し、体系化する
(5)予測、予言する

これらの頂点を行ったり来たり、縦横無尽に駆け巡るのが、「思考」です。
この思考法において、特に重要になってくるのが、「集め、整理する」ことだと思いました。

興味がないことでも、ちょっとした不思議でも、何に対しても興味を持ち、その知識を集めていくのです。この「知識の収集」が足りないと、知識を繋げることも出来ず、新しいヒラメキは生まれてきません。

本書では、知識を「ボンヤリ知識」と「ハッキリ知識」と2つに区別していましたが、どちらの知識も重要になってきます。最初、集めた時は「ボンヤリ知識」でも、「ボンヤリ知識」だと認識し続けることで、もしくは、それを知識と気づくことで、どこかのタイミングで「ハッキリ知識」になる可能性があります。つまり、「ボンヤリ知識」に気づくことが、何事にも肝心なのです。


【その3】「全体は部分から成る。部分は互いに影響を及ぼし合って全体を演出する」

この、「全体は部分から成る。部分は互いに影響を及ぼし合って全体を演出する」という「物事をシステムとして見る」考えは、理系思考の基本とあります。

これを次の3つの「部分」と「全体」を関係づける切り口で検討することが大事になるのです。

・問題の仕組みを知るための考察手法 -- 「分析」と「総合」

・全体の中の大事な部分を選び出すための考察手法 -- 「抽象」と「概括」

・新しい知識を生むための考察手法 -- 「帰納」と「演繹」


ここも、全体から部分へ、そして、部分から全体へと行ったり来たりすることで、新しい価値が生まれてくるのだと思います。


本書では、理系的思考方法(=シンプル思考法)というものが、どんなものなのかを、今回はご紹介していませんが、色々な事例を参考に説明しています。

ビジネスにおいては、論理的思考法が重要ということは良く聴きますが、同じ様なニュアンスの内容を、より「思考法」という観点でまとめ直している著書だと感じました。

論理的思考法について更に勉強したい方や、論理的思考法について違った切り口で学び直したい方にも、お勧めの一冊と言えます。

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目次
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◆はじめに 人生の「最強のガイド役」になる思考法!


1章「鮮やかな問題解決」あの人はなぜ、できるのか!
--【ものを見る目】が変わる

(1)「分解する」「組み合わせる」で答えを出す

「空が青い」理由、「成績が上がらない」理由
手強い問題は「分解」してみる

(2)物事の「周辺」と「背後」を見るクセ

点で見る、線で見る、面で見る
「白か黒か」だけで考えない

(3)「小さな世界の専門家」で満足していないか

知識は頭の中で「遊ばせる」
たまり場での「雑談」効果


2章「キレのある頭」意外な秘密
--【頭の回転のさせ方】が変わる

(1)「よい材料」を集める

なぜ理系出身者は文系出身者より生涯年収が高い?
「いま、必要なもの」を一瞬で見つけ出す

(2)「ボンヤリ」から「ハッキリ」への転換

「アイデアのタネ」の育て方
頭の中の「意外な財産」

(3)「全体」と「部分」をつないでみる

難解な資料を「頭から読む」人、「要点だけ読む」人
「推論」するときの落とし穴

(4)頭と手を「一緒に動かす」

ベートーヴェンを知るのに「まず伝記を読む人」はいない
「マニュアル」の良し悪し


3章「一番、大事なこと」を常に頭に置いておく
--【疑問の持ち方】が変わる

(1)「ピン!と来た」ものを逃がさない

「何かが足りない・・・」という大事な感覚
「1万人が見過ごしたこと」に気づくには

(2)「スタート」から「ゴール」を見透かす

バラバラな考えを「そろえる」方法
「解決シナリオ」を強烈にイメージ!

(3)"ムダ知識"もためらわずに集める

何にでも「?」を持つ
この「執念」を持っているか

(4)頭の中に「五角形」を描く

事例--「売り上げアップを図るには?」
あえて「行ったり来たり」する

(5)"結論"は、一応疑ってチェックする

頭にある"2種類の秤"
"現場"にかじりつく


4章「伸びる人」「求められる人」これが絶対条件!
--【優先順位の立て方】が変わる

(1)「独創性」は「組み合わせ」で出る

ときに、知識を「引用する」
「発見」には二つの型がある

(2)「先を読む」のに必要なこと、不必要なこと

「勝ち残る人」の共通点
「壁の向こう側」を覗こう

(3)将来の希望を「物語」にする

考え方に「大河ドラマのストーリー性」を
「自分の成功物語」を思い描く


5章「理系の目」には世界が違って見える!
--【あなたの価値観】が変わる

(1)同じものを見ても「結果は違う」

物事を「音楽のように聴く」「絵のように観る」
「開拓者のつもり」で世界を見る

(2)「展望台」から遠くを見渡す

本業の「周辺」を歩き回ろう
「歴史に名を残す人」を育てた環境

(3)「理詰め」に「心」を加える

「冷徹な思考」に足りないものは?
「もの」と「心」のつながり

(4)この「価値観」を大切にしているか

これから活躍する人が持つ「客観的な視点」
「グローバル人間」になるために

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