「ポジショニング戦略」というものは、聴いたことがあります。
「リ・ポジショニング戦略」というのは、初耳でした。
黄色い表示と、「リ」という興味をそそる響きに、思わず購入した一冊です。
著者は、ジャック・トラウト氏。世界屈指のマーケティング戦略家で、「ポジショニング」というコンセプトを作った人物。そんな、ポジショニング戦略の大家が、1969年から13冊に渡り取り上げてきた「ポジショニング」に関する著作の集大成。
「ポジショニング戦略」が初めての方も、そうでない方も、
マーケティングを勉強している方には、ぜひ一度、お手にとってもらいたい一冊です。
「ポジショニング」とは、潜在顧客の脳の中にあるあなた自身のイメージを、ほかと差別化することです。
「リ・ポジショニング」とは、あなたがあなた自身やライバルに対して抱いている認識を少しずつ改めていくことです。
つまり、市場へ参入している多くの競合との関係や、時代の変化から、差別化すべきポイントを探っていき、時代にあったポジショニングを行うことだと、理解しています。
「リ・ポジショニング」は、ライバル(競合)がいる前提で、そのライバルに対処するために行うものなのです。
この手法は、急激な技術革新や、急速な時代の流れにおいても対応することができます。
・過去30年のあいだに生み出された情報量は、この5千年間に生み出された情報量より多い
・印刷された情報の総量は、4、5年ごとに倍増する
・平日の『ニューヨーク・タイムズ』紙に書かれている情報量は、平均的な17世紀のイギリス人が一生に得る情報量より多い
・全世界で毎日、4千冊以上の本が出版される
・平均的なサラリーマンは、1年間に70キログラムのコピー用紙を消費する。10年前の2倍の量。
という様に、情報が溢れかえっている現代。こういった時代だからこそ注目されるべき戦略だと言えます。
本書では、アメリカだけでなく、世界中の多くの事例が掲載され、紹介されています。
・ロシアのミネラルウォーター戦争
・大手ケチャップブランド パンペロの事例
・スペインとイタリアのオリーヴオイル生産国としての争い
・北京で300年以上、飲み継がれている中国の酸梅湯(サンメイタン)ブランド九龍斎の戦略
・シリコン・グラフィックス社の悲話
・アイルランドのC&Cグループがリンゴ酒マグナース・オリジナルをイギリス市場で高級飲料にしたてた事例
・ペプシの北米清涼飲料水事業での動向
・AIGの悲しい物語
・IBM、ゼロックス、apple...
本当に様々な業種、業態の事例が紹介されているのが特徴です。
著者のその事例への取り組みのエピソードを含め、具体的に紹介されているので、読んでいて知らないことに対しても「たしかになぁ」や「なるほど」と納得しながら読み進めることができました。
諸外国のマーケティング事例集としても、面白い一冊ではないでしょうか。
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