「携帯向けの Webアプリケーションを作る」
言うのは簡単だが、実際にこれを実現するには、単に PC環境での Webアプリケーションの知識/経験があるだけでは足りない。
仮にPCであっても Webアプリケーションを開発するには事前に対象となるブラウザをある程度絞込んで想定してから取り掛かり、ベースとなるWebアプリケーションを単に一通り作る以上に、全ての環境/ブラウザにおいて正しく期待するように表示/動作することを確認する調整に時間がかかるものだが、携帯となると、その比ではない。
携帯は既に数千の機種が発売されていて、出荷時期やメーカによって有効な機能もまちまち、キャリア(Docomo/au/SoftBank)によってもサポートされている機能や、向かっている方向が異なるからだ。
携帯向けの Webアプリケーションを自前で作る場合には、最低限知っておかなくてはいけない決まりごとがいくつかある。
・テーブルタグや Cookie, JavaScript, SSLがどの程度の機種で使用可能なのか?
・サポートされている画像フォーマットの種類やサイズ。
・機種ごとに違う絵文字を扱うにはどうすれば良いか?
・そもそもキャリアや機種をどうやって判別するのか?
お金のあるプロジェクトならアクセスしてきた携帯端末にあわせて自動的にコンテンツを変換してくれるサーバーを立てることも多いだろうが、それができないプロジェクトや、あるいはコンテンツ変換をしてなお吸収しきれない携帯特有の注意点の根本原因を、この本では垣間見ることができる。
携帯向け Webアプリケーションを作るうえで、まずは最低限知っていないといけない内容が多く含まれている。
本書は"PHP"と付いてはいるが、携帯向け Webアプリケーションを作成する上での注意が言語に依存せず説明されており、サンプルプログラムもPHPに特化した要素はないので、ちょっとしたPG言語の読み替えができる能力があればかなり有益だろう。
実際自分は Javaでの開発でかなり参考にさせてもらった。
逆に、記載されているサンプルが CDで付いているわけでもなく、どこからかダウンロードできるとも書かれていない。
内容は理解できなくても、ともかくサンプルをそのまま使いたいような人には敷居の高い書籍である。
著者:荒木 稔
出版社:ソフトバンククリエイティブ
価格:2,940円
目次:
Chapter1 携帯サイトを作るための基礎知識
Chapter2 簡易的なページの作成と確認方法
Chapter3 キャリア/機種の判別
Chapter4 端末に最適な画面で表示する
Chapter5 絵文字を取り扱う
Chapter6 携帯メールを実装する
Chapter7 ログイン状態の管理
Chapter8 位置情報の取得
Chapter9 動的にQRコードを作成する
初版、改版情報
発売日: 2008/9/27
誰にオススメか?
携帯サイト向けのWebアプリケーションを開発する人
(HTML/CSS等の基礎知識を持っている人)
キャリア対象
PG
2年以上
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