iPhoneアプリケーション開発ガイド――HTML+CSS+JavaScriptによる開発手法

2010年9月 2日  プログラミング  市川

世の中 スマートフォン流行りである。
中でも iPhoneは飛びぬけていて、その人気を支えているのが iPhoneアプリであることは言うまでもない。
今やその数は数十万にもなるらしく新しい iPhoneアプリを紹介するだけで、雑誌ができたり TV番組の 1コーナーができるくらいの勢いだ。
有償のアプリでちょっとした稼ぎを得た話も聞く。

IT業界にいる限り、iPhoneアプリを作ってみたいという人は確実に多いと思う。
しかし、iPhoneアプリを作るための王道には、
 A.Macを持っている
 B.Objectiv-Cを覚えて SDKを使いこなす
という、2つの高いハードルが立ちはだかっている。
本来 Macとゴリゴリのプログラムは相容れないもので、実のところ AとBの両方の条件を兼ね備えている人材/環境はかなり貴重だ。
Macを持っている人は C言語なんか覚えたくないし、Cができる人は Macなんか持っていない、ことの方が多い。

ところで、世の中には、探せば細いながらも王道以外の道が必ずある。
実は、iPhoneに搭載されている Webブラウザの safariは携帯電話のブラウザよりかなり革新的で、
JavaScript のライブラリ jQuery + AJax がさくさく動いたり、新しい表現のできる HTML5にもかなり準拠していたり、ローカルのちょっとした RDBを作って SQLを使えたりする。
これらを活用すると、かなり柔軟な Webアプリケーションが作れる。

そこで、今回紹介するこの書籍は、
まず iPhoneアプリを HTML + CSS + JavaScript からなる、Webアプリケーションとして作成しておき、PhoneGapというツールで『変換』をかませることでネイティブの iPhoneアプリに仕立ててしまう、
という手法を紹介している。

残念なことに、ネイティブな機能(位置情報や加速度センサー等)は『変換』をしてからでないと使えなかったり、そも『変換』で Macが必須になったりはするのだが、
AppStoreから有償で配布するようなアプリケーションでなければ、場合によっては Webアプリケーションのままでも十分な例があるのではないだろうか。
この書籍では、Webアプリケーションの段階で、どうすれば iPhone向けのアプリケーションに似せられるのか、またインターネットにつながっていないオフラインでの処理をどうするべきかについても詳細に書かれているので、主にクライアントサイドで動作する Webアプリケーションを作るためのノウハウも詰まっている。

まず取っ掛かりとして iPhoneアプリを作ってみる気になるにはもってこいの一冊である。

誰にオススメか?
 iPhoneアプリに興味にある。
キャリア対象
 2,3年目以降。HTMLと CSS、JavaScriptが読める/書ける。日ごろ jQueryを使っていればなお良い。


著者:Jonathan Stark 著、増井 俊之 監訳、牧野 聡 訳
出版社:オライリージャパン
価格:1,995円
発売日:2010/07/29


1章 さあ始めよう
 1.1 Webアプリケーションとネイティブアプリケーション
  1.1.1 Webアプリケーションとは
  1.1.2 ネイティブアプリケーションとは
  1.1.3 長所と短所
  1.1.4 アプローチの選択
 1.2 Webプログラミングの概要
  1.2.1 HTML
  1.2.2 CSS
  1.2.3 JavaScript

2章 スタイル設定の基本
 2.1 はじめの一歩
  2.1.1 iPhone用のスタイルシート
  2.1.2 ページの幅の調整
 2.2 iPhone向けの CSS
 2.3 iPhoneアプリケーションのルック&フィール
 2.4 jQueryによる簡単なふるまいの追加
 2.5 まとめ

3章 より高度なスタイル設定
 3.1 Ajaxとは
 3.2 トラフィックの交通整理
 3.3 ちょっとした付加機能
 3.4 [戻る]ボタンの作成
 3.5 ホーム画面へのアイコンの追加
 3.6 フルスクリーンモード
  3.6.1 ステータスバーの変更
  3.6.2 スタートアップ画像の設定
 3.7 まとめ

4章 アニメーション効果
 4.1 ライブラリの助けを借りる
 4.2 スライドする[ホーム]パネル
 4.3 [日付一覧]パネル
 4.4 [その日の食べ物]パネル
 4.5 [新規エントリ]パネル
 4.6 [設定]パネル
 4.7 アプリケーションの完成
 4.8 jQTouchの設定
 4.9 まとめ

5章 クライアントサイドのストレージ
 5.1 localStorageとsessionStorage
  5.1.1 localStorageへの設定情報の保存
  5.1.2 sessionStorageへの日時の保存
 5.2 クライアントサイドのデータベース
  5.2.1 データベースの作成
  5.2.2 行の挿入
  5.2.3 行の選択とリザルトセットの扱い
  5.2.4 行の削除
 5.3 まとめ

6章 オフライン時の動作
 6.1 オフラインアプリケーションキャッシュの仕組み
 6.2 オンライン専用ファイルとオフライン時用の代替ファイル
 6.3 マニフェストの動的な生成
 6.4 デバッグ
  6.4.1 JavaScriptコンソール
  6.4.2 キャッシュのデータベース
 6.5 まとめ

7章 ネイティブアプリケーション化
 7.1 PhoneGapとは
  7.1.1 スクリーンを縦幅いっぱいに使う
  7.1.2 タイトルとアイコンの設定
  7.1.3 スタートアップ画面の作成
 7.2 iPhoneへのインストール
 7.3 JavaScriptから iPhone固有の機能を呼び出す
  7.3.1 ビープ音、バイブレーション、アラート
  7.3.2 位置情報の取得
  7.3.3 加速度センサー
 7.4 まとめ

8章 iTunes App Storeでの公開
 8.1 配布用 Provisioning profileの作成
 8.2 配布用 Provisioning profileのインストール
 8.3 プロジェクト名の変更
 8.4 アプリケーションのバイナリの準備
 8.5 アプリケーションのアップロード
 8.6 レビューの間にするべきこと
 8.7 参考資料

付録 A サードパーティ製フレームワーク /ライブラリ比較

付録 B Webアプリケーションの移植
 B.1 単純な Webアプリケーションを iPhone/iPadで動かす
 B.2 Processing.jsの利用
 B.3 ネイティブアプリケーション化のメリットとデメリット

iPhoneアプリケーション開発ガイド ―HTML+CSS+JavaScript による開発手法
Jonathan Stark
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5 SDKで開発中ですが、ちょっと気になって読んでみました
4 Mac所有が前提
5 こんな本を待っていた!!
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