マネジメントのノウハウ本だと思って読むと、手痛い目にあいます。
「もしドラ」で有名になった、ドラッカーの著書。原書は、さらに厚い本があるのですが、その原書からポイント・エッセンスを抜粋した良書です。
ITやシステム開発の世界でも、様々なマネジャー(マネージャー)が存在しています。プロジェクトマネジャーや、ITマネジャー(情報システム部門の管理職)など。
そんなマネジャーの方や、経営者の方、プロジェクトリーダーの方など、人と組織を取りまとめる仕事に付いている方には、オススメの一冊です。
「久々に、大学の教科書の様な本を読んだ。」
これが、率直な感想です。
本書は、「企業=営利組織ではない」という、一般的な大前提を覆す提言から入り、仕事、責任について考察がなされ、本題のマネジャー/マネジメントについての話を経由して、組織論、そして、最終的にはトップマネジメントの話へと流れて行きます。
さらに、各テーマでは、様々な形態/パターンについて、紹介・考察がなされています。
大学時代に読んだ、民法や刑法の基本書(教科書のこと)を思い出す様な構成と内容でした。
本書で、数回に渡り説かれていて印象が残る言葉として、「われわれの事業は何か、何であるべきか」があります。
ドラッカー氏の提言を、個人的に解釈すると、
次の様に考えました。
「企業(事業)=社会貢献組織」
「企業(事業)の目的=顧客に対して、より良い未来の提供(イノベーション)」
つまり、上述の応えとしては、
「われわれの事業は社会貢献であり、そのためのイノベーションであるべき」
と返すことができるのではと、考えています。
さて、こういた目的を持った事業をマネジメントする役割が、マネジャーの仕事のひとつだと説いています。
そして、マネジャーに共通の仕事として、以下の5つを挙げています。
- 目標を設定する
- 組織する
- 動機どけとコミュニケーション
- 評価測定する
- 人材を開発する
また、一般的な会社では、出世=管理職(マネジャー)となり、機能=高い報酬という方程式になっていますが、本書によると、マネジャーとは、機能であり、地位ではないという姿勢も、興味深い内容でした。
これが、初めて読み切ったドラッカー本となったのですが、本書を全て読んで振り返ると、自分が過去の経験や、他の著者からの影響でイメージする様になったマネジメント像が、間違っていなかったという大きな自信を得る事ができたと自負しています。
序 新たな挑戦
Part1 マネジメントの使命
1 マネジメントの役割
第1章 企業の成果
2 企業とは何か
3 事業は何か
4 事業の目標
5 戦略計画
第2章 公的機関の成果
6 多元社会
7 公的機関不振の原因
8 公的機関成功の条件
第3章 仕事と人間
9 新しい現実
10 仕事と労働
11 仕事の生産性
12 人と労働のマネジメント
13 責任と保障
14 「人は最大の資産である」
第4章 社会的責任
15 マネジメントと社会
16 社会的影響と社会の問題
17 社会的責任の限界
18 企業と政府
19 プロフェッショナルの倫理ー知りながら害をなすな
Part2 マネジメントの方法
20 マネジメントの必要性
第5章 マネジャー
21 マネジャーとは何か
22 マネジャーの仕事
23 マネジメントの開発
24 自己管理による目標管理
25 ミドルマネジメント
26 組織の精神
第6章 マネジメントの技能
27 意思決定
28 コミュニケーション
29 管理
30 経営科学
第7章 マネジメントの組織
31 新しいニーズ
32 組織の基本単位
33 組織の条件
34 五つの組織構造
35 組織構造についての結論
Part3 マネジメントの戦略
36 ドイツ銀行物語
第8章 トップマネジメント
37 トップマネジメントの役割
38 トップマネジメントの構造
39 取締役会
第9章 マネジメントの戦略
40 規模のマネジメント
41 多角化のマネジメント
42 グローバル化のマネジメント
43 成長のマネジメント
44 イノベーション
45 マネジメントの正統性
結論
付章 マネジメントのパラダイムが変わった
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