ランチェスター思考 競争戦略の基礎

2011年4月26日  仕事一般  中津川

「ランチェスター戦略」という言葉を、耳にしたことがある方も多いのでは。

ランチェスター戦略とは、「市場リーダーシップ戦略」と「ニッチ戦略」から構成される競争戦略論のフロンティアである(本書より抜粋)。

1972年に日本の田岡信夫氏と、斧田太公望氏が開発した競争戦略論です。元は、第一次大戦の際の初めての航空機による空中戦を分析し、発表した軍事法則です。それを、田岡氏、斧田氏がマーケティング戦略論として展開した競争戦略論です。

千本倖生氏(イーモバイル株式会社代表取締役兼CEO)、鹿井信雄(元ソニー株式会社副社長)、鳥羽博道(株式会社ドトール・コーヒー名誉会長)、吉越浩一郎(トリンプ・インターナショナル・ジャパン前社長)、澤田秀雄(株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長)、大久保秀夫(株式会社フォーバル代表取締役会長兼社長)、吉田哲夫(キヤノンマーケティングジャパン株式会社取締役エリア販売事業部長)など、多くの経営者から「推薦します。」という声が、帯や裏表紙全体に掲載されている本書。

「経営戦略」という言葉に敏感な読者なら、この本が書店で平積みにされている光景を見たら、もう買うしかないです。

「ランチェスター戦略」について、優しく、分かり易く書かれた入門書として、経営戦略をこれから学ぶ方には最適な一冊だと思います。


ランチェスター戦略には、市場占拠率の目標数値モデルというものがあります。

これは、自社のシェアが、市場においてどれくらいの数字を占めているか、そのシェア何がわかり、どれくらいのシェアを目標として設定すればよいのかがわかるモデルです。


74%:上限目標値
絶対的な独走状態になる占有率。

42%:安定目標値
安定的な強者の位置。独走状態に入る占有率

26%:下限目標値
弱者と強者の境目。トップになることもあるが不安定な状態でもある占有率。

19%:上位目標値
弱者のなかの相対的強者。伸びるか、落ちるか不安定な状態でもある占有率。

11%:影響目標値
存在がマーケット動向に影響を与え、注目される占有率。

7%:存在目標値
存在が競合社として認められる占有率。

3%:拠点目標値
存在自体が無視されるが、なんとか生存できる占有率。


こういった、シェア率で自社の立ち位置を考える思考は、新卒で入社した会社の事業戦略策定時に学んだ記憶を思い出しました。

自社単体での売上額を見ても、市場が縮小傾向であるなら意味がない。ドメインが明確に決まっている企業としては、上記思考で戦略を考えることが重要だと、その当時は納得していた覚えがあります。

ただ一方で、マクロ経済の影響を受け、市場シェアによる考え方が出来るのは、ひとつ大企業であるからとも思えました。

今、実際に中小企業でビジネスを行っていて、シェア(占有率)という発想は、ほとんど持っていませんでした。

しかし、この発想は、「動きが軽い中小企業だからこそ」「仮想敵を作り辛い中小企業だからこそ」「自社の売上数字を追う事で一生懸命の中小企業だからこそ」生きてくるものではと、本書を読んで気づかされました。

正に、ビジネスは戦争。弱肉強食の世界です。


様々な外的影響で、景気も厳しい現在だからこそ、軍事戦略を基礎として築きあげられた本書を読むことで、新たな視点、新たな気づきが得られると思います。


ランチェスター思考 競争戦略の基礎
福田秀人
東洋経済新報社
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