前回に引き続き、理論偏重ではない「使えるコンサルティング」「実効性のある研修」を柱としたコンサルティング・グループ HRインスティテュート社の著作。
プレゼンテーションとは、「相手に自分の考え方を理解していただき、その上で、納得していただいて、そして、行動していただくプロセス」と定義している。
つまり、(1)聴いてもらう、(2)理解してもらう、(3)納得してもらう、(4)行動してもらう。この一連の4つを提供することが、プレゼンテーションの真の意味だと述べています。
そして本書では、プレゼンテーションのスキルを大きく3つに分類しています。
- プレゼンス
- シナリオ・スキル
- デリバリー・スキル
この3つのスキルについて、読者に読んでもらい、図表を見ながら理解してもらい、読者に納得してもらい、具体的な練習方法も掲載して行動してもらえる様に、本書を構成しています。
つまり、本書自体がひとつのプレゼンテーションとなっているのです。
人前で話すのが苦手というあなた。さあ、日本でも著名な研修コンサルティンググループの紙上プレゼンテーションを体験してみては、いかがでしょうか。
本書を読むという数時間の体験が、あなたの人生を大きく変える、一生の学びになるかもしれません。
さて、プレゼンテーションの3スキルについて、簡単にご紹介します。
【プレゼンス】
プレゼンスとは、存在自体。その人の存在感、エネルギー、情熱、思い、理念、ミッション、ビジョン、つまり「生きざま」のこと。このスキルだけは、「○○○・スキル」という言葉を使わない理由は、プレゼンスは一朝一夕には、身につかない大切な要素だからです。
本書では、マザー・テレサのスピーチが例として挙げられていました。もしまだご覧になったことがない方がいれば、一度この機会にご覧いただければと思います。
▼マザー・テレサのスピーチ動画
http://www.youtube.com/watch?v=-yFzCBIK-PY&feature=related
<紹介されている方法>
- エゴグラム
- エニアグラム
- ジョハリの窓
- 自分なりのポリシーや理念を持つ方法
- 言葉を「言霊」にする方法
- 気功の腹式呼吸法
- ティック・ナット・ハンの瞑想法
- ヨガの呼吸法 プラナヤーマ
【シナリオ・スキル】
シナリオ・スキルとは、相手を観察し、相手の立場で、より客観的に言いたいこと、伝えたいこと、表現したいことなどを構造化し、伝えやすいように、伝わりやすいようにシナリオ化する能力・技術のことです。
<紹介されている方法>
- 相手が喜ぶシナリオの作り方
- シナリオを描きだす前の5つのプロセス
- 相手にわかりにくいと感じさせないための「べからず5条」
- わかりやすい話の構成
- 4W1Hの法則
- 説得性を高めるための「ツリー」と「マトリックス」
- 1ページ1メッセージの原則
【デリバリー・スキル】
デリバリー・スキルとは、伝える能力・技術のことです。
<紹介されている方法>
- メーラビアンの法則
- 正しい発声法
- アイコンタクトの移し方
- 「言葉のヒゲ」トレーニング
- 効果的なジェスチャーの方法
- 効果的な立ち位置
- 効果的なホワイトボードの書き方
- リラックス法
- 効果的なボディ・ランゲージ
- 人を引き込む話のリズム
- 「笑い」の効用と原則
- 双方向コミュニケーションを実現するファシリテート・スキル
- 信頼を深めるQ&A対応の方法
- 場が沈黙した時の対処法
以上の様に、本書では、プレゼンテーションの意義・目的を述べるに留まらず、プレゼンテーションスキルを高めるための、方法や、効果的な練習方法が、多く紹介されています。
読んで終わりのビジネス書ではなく、実際に行動に移すための教科書として、実践書として「ツカエル一冊」であると言って過言ではありません。
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