2007.03.30

戦略とIT

IT戦略立案の方法論といった講習を受講しました

現代の企業経営において、ITがいかに重要であるか
企業の経営戦略に基づいて必要な「IT戦略」を立案する
つまり、何をやりたいかということが先に決まっていて、
目的を実践するためのITを導入するのがあるべき手順である。
ふむふむ・・・

突然、話は変わりますが
以前、リッツカールトン大阪の人事部長さんの講演を聞く機会がありました
その中の話で、「あなたの仕事において1番大切なことはなんですか?」
という質問に対して、「安全と正確」と即答された方がいたそうです
その方は、JRの駅で働いている人だったそうです
JRでは、最近は乗客に対する接客サービスの向上を推進しているが
「安全と正確」が1番大切と考えている人にとって
乗客に対する接客サービスの向上は、頭では理解できていても
現場での実践になかなか結びつかないのが現状らしい
「安全と正確」は、乗客へのサービスに繋がると思うが
接客サービスの向上より、優先順位が高いのは当然かもしれない・・

つまり、企業が組織や人の持つ信念といったものを無視して戦略を導入してもうまくいかない

これと同じようなことが、ITと戦略にも言えるのではないだろうか

普通に考えると、講習で学んだように
企業の経営戦略に基づいて必要な「IT戦略」を立案するのが正しいということになる
この考え方から、ITの世界では昔から戦略や方針設計のことを「上流」と呼んで、
システムの開発のことを「下流」と呼んでいるのだろう。
そして「上流」の最も対極にあるのがシステム運用の現場だと言える。
通常、システム運用はシステム開発などのよりも、さらに先のものとして考えられている。
システム運用の現場が経営戦略上、重要な場所だと考えられていないことになる。

そもそも、ここに大きな錯覚があるような気がする。
まず理想的な経営戦略に合致するシステムが構築できている企業は存在するのだろうか。
理想的な戦略を実現するために必要な情報システムを構築するには、
非常にコストがかかるものである
したがってシステムの開発現場では、第一フェーズ、第二フェーズいうように
システムの導入を段階的に行うように計画を立てていることが多く見られる。
最終的にあるべき機能がすべて実現できるのは3年後といった感じになるのである。

ところが、このやり方では3年後までは戦略は実行できないかもしれない。
システムの機能が不十分である期間は、理想的な戦略を実践できないだろう。
そしてその期間が3年もかかるようであれば、上流の戦略と言うものは、
あまり重要ではないような気がしてくるのは、私だけだろうか?

そう考えていくと、今導入されているITを前提に、戦略を立案する考えがあってもおかしくない。
今導入されているシステムの能力がフルに活用されているだろうか?
もっとうまく活用すれば、もっと利益に繋がるパワーを秘めているのではないだろうか?

今導入されているITを前提に、追加投資をすることで、
ITをもっとうまく活用する戦略を考えてみることも必要ではないだろうか?

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