コラム システム開発のお仕事

システム開発を成功させるためには その2

2009年6月23日  カテゴリー:かしこい客になる方法  執筆者:ルウシイ杉山

「SEには、どんな情報も開示する。
システムに関わる基本データは、なるべく早く渡す。
ゴミをとって整理してからという考えは良くない」

例えば、パッケージをそのまま導入するとしても、
ユーザー側の作業というのは、簡単ではありません。

通常は、システムで使う各種マスタを登録する作業が、
一番先に課せられます。

マスタ登録を画面から行う、もしくは、記入用紙に手書きする、
はたまたExcelシートで作成する、
他のシステムからデータを抜いてきてCSVを作成する。

マスタ登録作業には、こういった作業が考えられます。

データ加工だけであれば、
開発会社に請負ってもらうことも十分に考えられます。

しかし、過去のシステム資産にどんなデータが入っているのか、
また、それは正しいのか、使っていいのか、
といったことを判断できるのは、ユーザー側のシステム管理者、
もしくは現場でそのシステムをお使いの人であるはずです。

マスタ登録作業というのは、雑用でもありませんし、
誰がやっても良い作業ではありません。

非常に重要な作業であると認識して下さい。

これを、新人など、業務が分かっていない人に任せたり、
全営業マンに全部の得意先リストを紙やExcelに書かせて分担したものを
自動で入れてしまったりとすることは、あまり良い方法とはいえません。
(もちろん、誰か業務が分かる人が責任をもって行う分には良いのですが)

たとえ移行作業は自社でやるという決まりになっていたとしても、
開発会社側を引きずり込んで、
「本当に、集めたデータで動くのか」
「お互いにシステムについて思い違いはないのか」
といったことを検証することが大事なのです。

また、そういったデータの収集は、本番の直前や、
尻に火がついてからではなくて、システムのスケジュールが決まった直後に、
設計書が出来るかどうかの段階で、なるべく早く行うべきなのです。

(システム設計書ができあがった場合に印を押しますが、この直前直後です)

というのは、ユーザー側から見て、
「別に重要でないから」
と思って言わなかったことが、システムとしては「超・重要事項」であり、
それを聞いているのと聞いていないのとでは、大違いという場合があるのです。

システムの基本情報の真実を知らずして、
満足のいく設計はできないのです。


以下、非常に私的、個人的意見だと思って聞いてください。

政府系の仕事に関与したときに「おかしい」と思ったことがあります。

それは、
「彼らはマスタ登録を請負い業者に任せて、自分達では登録しない」
ということでした。

確かに、優良企業で大会社の場合はアウトソーシングで、
そういった場合もあります。

しかし、ほとんどの会社が少しでも経費節約のため、
そして、システム構築にも自分たちで参加するために、
マスタ登録は自分達で行っているのです。

他の仕事がどんなに大事であろうとも、国民のために仕事をしている人達が、
自分たちの使うシステムを、金を使って第三者にお任せして良いのかと
思ったのでした。

「厚生年金のシステムが雑であった」
といったニュースを聞いて、本当にその思いが強くなりました。


感情的になってしまいました。

では、思い直して。

「ユーザーはマスタやデータの中身をなるべく早く、
紙でもいいし、元のデータでもよいので、明確にSEに示すべし」

恥ずかしいから見せたくない、後からでいいや、は厳禁なのです。

そして、システムを成功させるために、
基本情報は自分で整備し、チェックしましょう。

もちろん開発側も、アドバイスや、ツール作成など、
できることは協力いたします。

執筆者: 杉山 淳子

株式会社アイロベックス 代表取締役社長
SEとして26年のキャリアを持つ。SEという職業を誇りに思い、心から愛している。
今の願いは、「リスペクトカンパニー」  一流のプロフェッショナルにみんなを育てること。
社長のブログ掲載中 http://blog.livedoor.jp/ilovex_sugiyama/

お問合せ電話番号:03-6892-2526(平日10:00-19:00)小冊子 [ トホホのシステム開発 ]ご予約受付中!
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