コラム システム開発のお仕事

何をやって何をやらないか

2009年10月29日  カテゴリー:成功の鍵はユーザーマインドにあり  執筆者:ルウシイ杉山

技術者として生きていると、ときに勘違いをして、「難しい仕様を確実に解く、
答えを出す」ことが、イコール「仕事ができる」ことだと思ってしまいがちです。

もちろん、ある意味では、それは真実でしょう。
その仕様が、何がなんでもやり遂げたいお客様の要望をかなえる、
唯一の手段だとしたらです。

しかし、指示された通りの難しい仕様に答えを出すことのみに
時間を費やすことがあってはいけません。

プログラマに限らず、SEもそうですが、自分の時間は自分のものではなくて、
お客様が購入してくださった時間であるという認識が必要です。

ときに、難易度は、指示するシステムエンジニアとプログラマの間でも判断が
異なるときがあります。

設計者が「これは、簡単だから」と思って、修正依頼を出すと、
プログラマにとっては、とんでもなく時間がかかってしまう修正であったと
いうことがあるのです。

こうしたことは、設計者がプログラムの作りを理解していないときに起こります。
また、プログラマが未熟で、ちょっとした修正や変更に耐えられない書き方を
しているということもあるでしょう。

さらに、プログラマが設計者の修正依頼の意味を取り違えてしまい、
色々と考えすぎて、必要以上のことをしてしまうこともあります。

そこで、プログラマは、難解な仕様に必要以上に時間を費やすのではなく、
システムエンジニアと十分なコミュニケーションをとって、
「何をやって、何をやらないか」という判断をしていかなくてはなりません。


同じようなことは、お客様と設計者との間でも起こります。
お客様にとっては、軽い一言であった、思いつきであったということが
あるのです。お客様は、そんな修正は、非常に簡単に出来ると思っていた
ということがあるのです。

「上司は思いつきでものを言う。」という本が売れましたが
「お客様は、もっと思いつきでものを言う。」ことも往々にしてあるのです。

もちろん、その一言の中に、深い真実が隠されていることもあるので
ないがしろにはできないのですが。

1つには、これは、思ったより時間がかかるぞ、リスクが高いぞと思えば
お客様に正直に伝えることも必要です。

そして、何故、お客様がそういう発言をされたのか、
本来の意味を理解して、運用を考え直す、などといった、
お客様の立場にたった正しい提案をすることが必要とされるのです。


ときに、お客様の側に開発費用が十分に用意されている場合、
ときに、開発者側の人間がコミュニケーション能力が低い場合、
ときに、開発者側の人間に言われたことをそのまま実現することが
    真の「できる技術者だ」と思っている場合(若い人に多いですが)


こうしたとき、たいした意味もなく、お客様に膨大なお金を使わせてしまう、
とんでもない赤字プロジェクトになってしまう、ということがあるのです。

金額は最初に決まっているから、自分だけが余分に働けばいいんだという考えが
技術者に浮かぶことがあります。

しかし、指示された通りの仕様や難しい仕様に答えを出すことに拘泥し、
技術のみに自分の力の100%以上を出し切って納めようとすることが
本当に仕事として正しいでしょうか。

余裕があれば、より深いところまでシステムを検証し、使いやすさや将来性も
提案できたかもしれません。

しかし、ほんの一部である仕様の難解さを追求することに集中しすぎて、
お客様のために最適な結果を出すための貴重な時間を
浪費してしまっていないでしょうか。

ときに「できる」と自分のことを思っている技術者には、
考えてみてもらいたいものだと思うのです。

執筆者: 杉山 淳子

株式会社アイロベックス 代表取締役社長
SEとして26年のキャリアを持つ。SEという職業を誇りに思い、心から愛している。
今の願いは、「リスペクトカンパニー」  一流のプロフェッショナルにみんなを育てること。
社長のブログ掲載中 http://blog.livedoor.jp/ilovex_sugiyama/

お問合せ電話番号:03-6892-2526(平日10:00-19:00)小冊子 [ トホホのシステム開発 ]ご予約受付中!
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